上写真=いきなりの先発となった須貝。伊藤監督からの評価は最高だ(写真◎J.LEAGUE)
■2020年9月26日 J2リーグ第22節(@デンカS:観衆7,777人)
新潟 1-1 甲府
得点:(新)オウンゴール
(甲)ドゥドゥ
「質にこだわらないとダメですね」
2021年からのヴァンフォーレ甲府入りが決まっている須貝英大が、いきなり大きな仕事をやってのけた。J2第22節のアルビレックス新潟戦でプロ初出場が初先発。しかし、臆することなく戦って、フル出場も果たしてみせた。
「90分を通して強みである守備の部分はしっかりできたかなと思いますが、攻撃面でもう少しゴールに直結できるプレーの質を上げてかないといけないと思いました。プロの世界はクオリティーが高いので、自分としても結果を出せる選手になりたいと思っています」
やけに落ち着いているが、これも明治大サッカー部の伝統かもしれない。現在、4年生でキャプテンを務めている。8月20日に来季からの加入が発表され、9月11日に2020年JFA・Jリーグ特別指定選手として承認されたばかり。
明治大といえば多くの名選手を送り出してきたが、特に今季はプロ1年目の「明治OB」たち、FC東京の安部柊斗や中村帆高、サガン鳥栖の森下龍矢、横浜FCの瀬古樹らの活躍が顕著で、注目が集まっている。そんな先輩たちの活躍が刺激にならないわけはない。
「この4年、監督をはじめスタッフにも厳しく指導してもらっていて、特に明治では守備を求められています。その強度はどこの大学よりも通用すると思っていて、球際、切り替え、運動量の部分は毎日意識しながらやっています。一つ上の先輩たちがプロで活躍しているのは、明治でやるべきことをやってプロでの体現できているからだと思っています」
だからこそ自分も、の思いは強くなる。
「強度は意識的に出したのですが、質の部分ではまだまだでした。寄せるスピードも意識したけれど、いつ寄せるのか、どこにポジションを取るのか、どのタイミングで走るかの部分で、強度は出せていたからこそ、質にこだわらないとダメですね」
とはいえ、右のウイングバックに入って、いまJ2で話題のドリブラー、本間至恩と丁々発止の渡り合いを見せてサイドにフタをすると、途中からは左に回って今度は技巧派ブラジル人のシルビーニョとも堂々と戦った。思わず、伊藤彰監督も最高の褒め言葉だ。
「僕自身は彼ができると思って自信を持って送り出しました。しっかりできていましたし、本間至恩選手に対してしっかり対等にプレーできていました。最後の方はシルビーニョ選手にも対応できていたし、素晴らしい選手だと思います。デビュー戦、しかも新潟というチームを相手に90分戦ってこれだけできて、100点満点ですね」
須貝はそれでも、改めて気を引き締める。
「緊張はしましたけれど、自分の中では出させてもらう以上、責任というか特徴を出そうと思いました。何も問題なく入れたかなと思います」
「(本間にも)何とか対応しましたけれど、コーナーキックになってしまったり、タツさん(小柳達司)がカバーしてくれたりと助けられました。個が強いチームに個で勝つ選手になりたいと思っているので、現状に満足せずに大学で継続してレベルアップしたい」
大きな自信になった最初の90分。この感触はきっと、これからのプロ生活で大切な礎になることだろう。
写真◎J.LEAGUE