上写真=苦悩するチームにある改善点を指摘した三門雄大(写真◎Getty Images)
■2020年9月16日 J2リーグ第9節(観衆1,880人/@NACK5)
大宮 0ー1 福岡
得点:(福)フアンマ
怖がらずに入っていかないと
8月を2分け4敗の未勝利で終え、反攻を誓って臨んだ9月も1勝2分け2敗と振るわない。16日の福岡戦は0-1で敗れて、浮上のきっかけをつかめなかった。苦悩するチームのキャプテン、三門は試合後にチームが直面している問題と修正点について、率直に口にした。
「試合内容自体はそんなに悪くもないし、格別良くもなくって感じだと思います。ボールを動かしていても、イバに入ったときのサポートだったり、シャドーに入ったときにグッと前向きでスピードアップできていない。ボール運びに少し人数をかけているぶん、入ったときに距離が遠いのかなという感じがしています」
実際、イバにボールが入ってもサポートがなく、連動しない場面が散見した。その理由について、ボランチの視点から指摘している。
「相手のペナルティーエリア(PA)でチャンスになりそうなシーンはできるんですけど、それをできるだけ多く出していくことを考えると、福岡のCBの位置と比べたときに、うちのCBの位置の方が5メートルくらい低いかなと思う。その分の前にかける人数にも影響しているのかなと。
もちろん、僕とか(小野)雅史、(大山)啓輔でディフェンスと一緒にボールを運んでいくというのは当然なんですけど、今日で言うと畑尾(大翔)のところはプレッシャーがあまりこなくて運べましたが、畑尾に入ったあとに僕らボランチが前向きのサポートできる形を作っていけなかった。それでは、なかなか相手のPAに入っていけない。それができないと先に点を取られたり、0-0の状況あっても、スーパーゴールでも生まれない限り、なかなか点が取れない。それが現状なのかなと。ごっつぁんゴールとか、そういうものは攻撃に人数をかけていないと生まれない。それができなければ逆襲はできない」
最終ラインのプッシュアップ(押し上げ)とそれに伴って攻撃に人数をかけやすくすることが、まず必要。三門は、そう指摘した。「福岡戦だけではなくて、クロスや崩しに対しての人数のかけ方が少ない。1点を取られることはどのゲームでもあると思うけど、逆に取れてなさ過ぎているので、そのことを受け止めてやっていくしかない」とも話している。
守備時にブロックを築く福岡に対し、大宮はそのブロックの手前でボールを回すものの、相手にとって危険なゾーンに人とボールを送り込むができなかった。最終ラインのプッシュアップがままならず、結果、コンパクトな陣形を保てず。ボールを失った際に即時奪回できないために2次攻撃につなげられなかった。
一方で守備に回ったときの大宮は概ね陣形をコンパクトに保てていた。フアンマにゴールを許した場面は崩されてしまったが、福岡戦は全体を通して引き締まった守備を見せていた。問題は守備から攻撃に移った際のボールの運びと、やはりプッシュアップだろう。あとは厳しい場所、すなわち相手が嫌がる場所に積極的に入っていく意識。
「フアンマとか遠野選手の前ではボールは動きますけど、相手のボランチの前まではなかなかボールを運べないというか、相手を困らせるような機会が少ない。そこは僕だったり雅史だったりが入っていければ違ったと感じます。相手のコートに入るまではできてきていますけど、ワイドを使ったときのシャドーの位置やボランチの位置、イバに入ったときにシャドーとボランチの位置が高くならないと。今は一人ひとりが頑張ってやる距離感になってしまっている。距離感をよく、と言うと曖昧になるんですが、やっぱりワンタッチでポンと落として、そこに味方が入っていけるような距離感にならないと、相手が困るようなことはできない。連戦の中でトレーニングがなかなかできないんですけど、怖がらずに、入っていかないことには変わらないと思います」
昇格候補と目されていた大宮は、現在13位と苦しんでいる。自動昇格圏内の2位・長崎までの勝ち点差は13ポイント。三門キャプテンの抱く危機感をチームで共有し、上昇のきっかけをつかめるか。次節は20日に、アウェーで町田と対戦する。