上写真=尹晶煥監督がチーム内のシビアな競争を改めて植え付ける。残り24試合で巻き返す(写真◎ジェフユナイテッド千葉)
「選手のことも引っ張っていきたい」
ジェフユナイテッド千葉の尹晶煥監督は、サポーターに伝えたいことがある。
「サポーターの皆さんにいい結果を見せられていないことは、本当に申し訳なく思っています。いまは我慢強く見ていてほしいと思っています。僕も落ち込むこともあるとはいえ、自分なりに強いと思っているのでなんとか乗り越えていきたいし、選手のことも引っ張っていきたいと思います。いい結果を見せられると思うのでがんばりますので、よろしくお願いします」
明治安田生命J2リーグ第18節のアルビレックス新潟戦の記者会見では通訳をつけずに自ら日本語で対応し、9月11日のオンライン取材でも日本語で一生懸命に語りかけた。「選手を引っ張りたい」の言葉に、指揮官としての意地と覚悟がにじむ。
第19節、愛媛FCとのアウェーゲームが、千葉の未来を変える一戦になるかもしれない。
「5連戦の中で結果が出ずに選手たちも落ち込んでいますが、早く気持ちを切り替えて愛媛戦できっかけを作りたい。選手たちの頑張ろうという姿がありますから、それを結果につなげられるように準備をして、勝って帰ってきたい」
18節終了時点で6勝2分け10敗の勝ち点20で16位という現在地に満足する人は一人もいないが、首位との勝ち点差18をどう判断するか。尹晶煥監督がファイティングポーズを下ろすはずはない。
「18の差は可能性がないわけではない。だから、愛媛戦をきっかけにしていきたい。選手が切り替える気持ちを見せてくれればプラスになると思います」
選手一人一人の状態にばらつきがあることが、難しさの一つになっている。いいプレーを見せた選手が、次の試合でまったく逆のパフォーマンスを見せることも多かったという。暑さと連戦から大幅なローテーションを敢行してきたが、その影響も理由の一つであると言及していて、「試合を続けることによって調節できるようにしなければいけなかったが、1試合出て1試合休ませたので難しかったのかもしれない」と振り返る。
だから、守備のほころびも見えやすくなったのだという分析も成り立つ。前線から厳しく奪いにいくスタイルは新潟戦でも見せていたが、時間の経過とともにズレが生じていった。
「もちろん、体力的にきついのであれば待って構えてもいいわけです。守備のときに前の選手は力があるから奪いにいく、でも後ろはきついから下げる、ということがあって、そこは共有すればよくなるはずです」
選手の調子に波があること、そのため、ベースの守備の戦術の部分でズレが生じること、その原因の一つに大幅なローテーションがあって戦い方を共有しきれなかったこと。だから、改めて「メンバーを固定する」段階にあることを強調した。
「いままでは平等にチャンスを与えてきましたが、メンバーを固定して戦っていくようにしようと思います。競争になります。これまでは、試合に普通に出られるという気持ちになって必死さがなくなるところがあったかもしれない。メンバーを固定すれば、そのメンバーはしっかり準備するし、もしできなければ落ちていくという競争をうまくさせていくのが重要になっていきます」
競争から生まれるパワーをピッチへ。まずは愛媛戦でその力を見せなければならない。