個性的で独創的なスタイルを標榜する東京ヴェルディにあって、永井秀樹監督から全幅の信頼を与えられている山本理仁の存在は大きい。すでに18歳で精神的な落ち着きを見せるオールランダーが見据えるものとは。

上写真=山本は新潟戦で復帰後初めて20分以上プレーして「疲れた」と笑う(写真◎J.LEAGUE)

自分を出さなければ生き残れない

 東京ヴェルディのアカデミー育ちで、永井秀樹監督の秘蔵っ子の一人として、昨年から主力級の働きを見せている山本理仁。プレーを一言で表すなら「理知的」ではどうだろうか。技術が高いのは当然で、視野の広さ、戦術眼の高さから、あらゆるポジションをこなしてしまう。

 J1第8節のアルビレックス新潟でも、69分に奈良輪雄太に代わってピッチに入ったときにはそのまま左サイドバックに入り、77分に福村貴幸が入ると今度は最終ラインの前で藤田譲瑠チマと並ぶようにしてバランスを取った。1-0のリードを守れずにアディショナルタイムに同点とされたことで「後半のあの時間に投入されて追いつかれたのは責任感じるし、勝たなければいけなかった」と嘆くが、それ以外の安定感は評価されるべきだろう。

 中断期間中の負傷の影響で、6節ジェフユナイテッド千葉戦で89分からピッチに入って復帰、7節モンテディオ山形戦は87分からの登場で、この新潟戦でようやく20分以上プレーできた。

「まだまだボールに触る回数も全然少ないし、立つ位置も思い出せていないのが現状です」

「痛みはまったくないし怖さもないのでいい状態ですけど、ゲーム体力のところはやっと20分ぐらい出てすごく疲れたというのが正直なところです」

 本格稼働は8月から、という現状のようだ。

 そんなときに入ってきたのが、U-19日本代表候補トレーニングキャンプのメンバー入りの知らせ。東京Vからは松橋優安、藤田に加え、ユース所属の佐古真礼と4人が選ばれている。

「忙しいのはありがたいこと。サッカーをやれるのが楽しみなので」と屈託がなく、代表ならではのシビアな状況も楽しむつもりだ。

「代表ではより個々でやるという部分が多いと思うので、自分をより出してやっていかなければ生き残れないと思う」

「最終予選(AFC U-19選手権)のメンバーに入りたいと思いますし、U-20ワールドカップ、その先のパリ・オリンピックもありますし、一つ一つ進んでいってA代表に入りたいと思います」

 そのための、東京Vでの日常だ。

「一発で局面を変えてチャンスを作るパスは自分も意識していかなければならないし、決定的な仕事ができるようにならないといけないと思っている」と自分へ課題を突きつける。どこが相手であっても、「ボールを持っていれば何の問題もない。相手がどうというよりも、自分たちがボール持って相手に攻撃させないように試合を運べれば勝てると思っている」と究極のスタイルを追い求めていくだけだ。

 そうした日々が、インテリジェンスあふれるオールラウンダーのレベルをさらに上げてくことだろう。


This article is a sponsored article by
''.