東京ヴェルディがあとほんの少しのところで勝利を逃してしまった。明治安田生命J2リーグ第8節、アルビレックス新潟を迎えたゲームは79分にCKから首尾よく先制したものの最後の最後に捕まった。逃げ切りの課題は?

上写真=永井監督は逃げ切れなかったことを悔やんだ(写真◎J.LEAGUE)

■2020年7月29日 J2リーグ第8節(@味スタ:観衆1,512人)
東京V 1-1 新潟
得点:(東)高橋祥平
   (新)渡邉新太

「サポートの基本がおろそかになって…」

 引き分けに終わった瞬間、東京ヴェルディの永井秀樹監督が頭を抱えてピッチに背中を向けたのも無理はない。先制したのが79分。残り11分とアディショナルタイムを乗り切れば、アルビレックス新潟から勝ち点3をもぎ取れる。それが、最後の最後で砂のように手のひらからこぼれ落ちてしまったのだから。

 行きつ戻りつはあったものの、東京Vが魅力的な攻撃を見せていたことは確かだ。流れの中からではなかったが、79分に右CKを佐藤優平が鋭くニアに送り、飛び込んでいた高橋祥平がヘッドで叩きつけるようにしてゴール左に送り込んだ先制弾は見事だった。ところが、アディショナルタイム3分に渡邉新太に同点ゴールを蹴り込まれた。どうして逃げ切れなかったのか…。

「セットプレーで先制し、勝ちが近づきましたが、そのあとの時間の使い方を学ばなければなりませんでした」

 課題は、どうやって相手の反撃をやり過ごすか。もちろん、プランはあった。

「あの時間帯でもう一度しっかりボールを持つことから始まって、2点目を奪いにいくことが最大の防御になります。そこはチームの立ち上げからずっと取り組んでいるゲームデザイン。今日はまさに1点取ったあとにきちんとボール持つ、相手コートでサッカーすることが大事でした」

 それは選手にも浸透していたものの、結局、東京Vの右サイドからのロングスローをつながれて蹴り込まれてしまう。永井監督は「率直に大変悔しいゲームです」と言葉を絞り出した。

 ただ、自分たちが目指すサッカーに揺るぎがないから、試合直後にまだ興奮が残っている状態でも、反省点は明確だ。

「もちろん体の疲労があるとは思うのですが、ボールを保持するための立ち位置、一番はサポートの距離、一歩、二歩のところの勝負がルーズになってきて、サポートの基本がおろそかになってきていました。あの時間にリードしてからもボールを保持して相手を動かすというのはこのサッカーをやる上で生命線かなと思っていますが、そこができなかったのは反省点です」

 それでも、このチームならではのスタイルは明白だし、それが見る者を楽しませているのも事実。敵将のアルベルト監督も「戦術的な見ごたえのある試合だった。今日の試合は見た方にとって魅力的になったことを願っています」と話していて、永井監督も直接「こういうゲームが理想的だ」と言葉をかけられ、「非常にいいゲームだったという評価をもらえることはありがたく思います」と確信も深めた。

 次節は絶好調の首位、V・ファーレン長崎とのアウェーゲーム。もちろん、永井監督はこのサッカーを貫いて勝ち点3を取るつもりだ。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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