7月10日の明治安田生命J2リーグ第4節、ファジアーノ岡山対ギラヴァンツ北九州は、Jリーグ再開後初の有観客試合だった。岡山の北川真也社長が試合後に安堵の思いや、改善すべき点などを語っている。

上写真=観客が距離を保って座っていたバックスタンド。クラブ職員が定期的に見回りもしていたという(写真◎石倉利英)

バックスタンドも『密』なし

 新型コロナウイルスの影響による各種イベントの開催制限が7月10日に緩和されたため、同日のファジアーノ岡山対ギラヴァンツ北九州がJリーグの先陣を切って、有観客試合として開催された。岡山の北川真也代表取締役社長は試合後のオンライン会見で開口一番、「まずはスタートでき、無事に終われたことに少しホッとしています」と安堵の表情を浮かべている。
 
 有観客とはいえ、声を出しての応援や手拍子などは禁止されており、試合前後も含め、聞こえてくる観客の反応は拍手のみだった。それでも北川社長は「選手のウォーミングアップが始まるときに拍手が起きて、鳥肌が立った」と明かし、「選手は私以上にかみ締めたと思っている。普段どれだけありがたい環境でできているのか、実感した試合だった」と続けた。

 有観客試合開催にあたっての関係各所の協力に、あらためて感謝の意を示した北川社長は、難しかった点について「チケットの販売が普段とまったく違う状況だった。ファン・サポーターの皆様にご迷惑をお掛けしたのではないか」と語った。この日のチケットは、シーズンパス保有者とファンクラブ会員への先行販売を経て、一般販売が行なわれ、当日券も販売されている。ただし、Jリーグが定めたガイドラインで、購入者の名前や連絡先を把握しなければならないため、窓口での対面販売はなく、オンライン販売のみ。それが「売れ行きにも影響したのかな、と思っている」と分析した。

 Jリーグのガイドラインに沿って座席数を制限すると、この日のシティライトスタジアムの上限目安は3500~4000人だったが、観客数は2294人だった。金曜日、しかも雨模様だったことを踏まえ、北川社長は「2294人の方に来ていただき、大変ありがたく思っている」と感謝したが、一方で「正直に言うと、もう少し売れ行きがあれば、と思っている。他のチームとも連絡を取らせてもらったが、想定よりかなり下回っていると聞いている。何が原因だったのか、しっかり突き止めていきたい」と課題を挙げた。

 北九州のサポーターが来場していたことについては「(Jリーグのガイドラインによる)プロトコル(約束事、手順)では、県外からの来場者を規制しておらず、アウェーのユニフォームを着ての入場だけを禁止している。プロトコルにのっとって運営しました」と説明。バックスタンドで観客が隣り合って座っていたのでは、との質問には「手の空いている職員が時間ごとに見回りを行なった。映像で見ると『密』に見えるが、見回ってみると、ほぼ我々が指定している席に座っていただいていた」と回答している。

 バックスタンドで1ブロックに1~2人、席を移動して知人と話した後、自分の席に戻る事例があったそうだが、大きな問題はなかったとの認識で、「今後も続くので、しっかり見回りしながらチェックしていく」との考えも示した。いずれにしても、これまでとは大きく異なる環境となり、11日以降の有観客試合でも、各スタジアムで手探りの試合運営が続きそうだ。

現地取材・写真◎石倉利英


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