Jリーグが帰ってくる。J1は7月4日から、J2とJ3は6月27日からリーグが再開(開幕)する。4カ月間、待ち望んだ試合を前に、サッカーマガジンWEBも参加する「DAZN Jリーグ推進委員会」で、18媒体横断企画を実施した。全56クラブの選手・監督・関係者にインタビュー。「THIS IS MY CLUB-FOR RESTART WITH LOVE-」をテーマに話を聞いた。水戸ホーリーホックの取締役となって2年目のシーズンに臨んでいる小島耕代表取締役副社長は、再開後のJリーグにどのような思いを抱いているのか。

「スポーツの持つ力は大きい」

画像: スタジアムに興奮と感動を呼び戻すために尽力していくと小島副社長は誓う(写真◎J.LEAGUE)

スタジアムに興奮と感動を呼び戻すために尽力していくと小島副社長は誓う(写真◎J.LEAGUE)

ーーいよいよ6月27日にJ2リーグが再開します。観客数の制限(2、3節は無観客試合)など、従来とは異なる形での試合運営について、どのように考えていますか。

小島 ルールが多くて大変だな、というのが正直なところです。まずは試合を無事に運営して、お客さんが入れるようになれば安全で快適なスタジアムを作る。そういったところに、これまで以上に気を遣うことになるでしょう。

ーー自宅などでDAZNの中継を見るファン・サポーターに向けては、どのように試合を楽しんでもらいたいですか。

小島 ファン・サポーターの皆さんに喜んでいただけるような施策を、我々フロントスタッフの一人ひとりができる限り考えなければいけません。ただ、やはりルールが多くて、できることは多くはないかと。正直、それを今、すごく悩んでいるところです。だからこそ、今季はまずはしっかりと試合を運営していき、選手たちの一生懸命な姿を見せていくことが大事かなと。「水戸らしさ」や「水戸のDNA」と言うような、最後の1秒まで激しく戦う姿を、お見せできると思っています。
 余談になりますが、プロ野球の開幕戦を何試合かハイライトで見ました。それまでもほとんど同じ環境で練習試合を行なっていたと思いますが、開幕戦では明らかに選手たちの目の色とか、喜び方が違っているわけです。(選手の本気の姿勢が)すごく勇気を与えてくれる。

ーー確かに、感じました。

小島 スポーツの持つ力というのは大きいと、すごく感じました。だから、早くこのコロナ禍を終息させて、いつものファン・サポーターでにぎわうスタジアムに戻す努力をしたい。私自身、ファン・サポーターがスタジアムで声を出せない、喜ぶこともちょっとはばかられるような状況であれば、果たしてそれは本当に、Jリーグの美しい姿なのかと、疑問に感じていますので。

――歓声が響き渡るスタジアムに戻すため、クラブを支えるファン・サポーターにはどのようなことを呼び掛けたいですか。

小島 今年は(クラブからファン・サポーターへ)たくさんの難しいお願いことをするシーズンになってしまうのですが、その中でも皆さんの熱い思いが伝わってきます。例えば、このリーグ中断期間のグッズ購入額は、通常ではあり得ないくらい大きかった。そういったことも含めて、皆さんの思いは我々フロントスタッフを通じて選手にも伝わっています。

 だから、スタジアムで静かに座って見ていても、あるいはスタジアムに来られずDAZNで試合を見ていても、皆さんの思いを感じながら選手は戦います。サッカークラブに必要なことは、皆さんからの思いや愛情です。地域の皆さん、ファン・サポーターの皆さん、パートナー企業の皆さんからの愛情を受けながら、我々もそれに応えられるような、皆さんへの愛情のこもった施策をたくさん提供していく。

――具体的にはどういうものになるのでしょう。

小島 例えば、スタジアムで試合を楽しめないときでも、いろいろなところで水戸ホーリーホックを感じられるサービスを生み出していこうと考えています。まずはそういった環境の中で、少しずつ日常を取り戻していく動きをみんなで一緒にやっていきましょう。我々運営側だけではなく、ファン・サポーターの皆さんも、共にJリーグを作る一員であってほしい。早く日常を取り戻して、ケーズデンキスタジアム水戸に、興奮と感動を呼び戻したいと思っています。

取材・構成◎小林康幸

◎Profile
こじま・こう◎1974年7月24日生まれ、茨城県出身。サッカー専門新聞の編集部デスクやスポーツ関連映像制作会社の営業職などを歴任し、2019年に地元のクラブである水戸ホーリーホックの取締役に就任。2020年6月25日の株主総会を経て、代表取締役副社長に就任した。


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