上写真=新天地での開幕戦で先発フル出場した徳元(写真◎石倉利英)
地元の沖縄を離れて岡山へ
2月23日のJ2リーグ開幕戦でツエーゲン金沢と対戦したファジアーノ岡山は、新加入選手4人が先発に名を連ねた。そのうちの一人がFC琉球から完全移籍で加わったDF徳元悠平。プレシーズンで左サイドバックの定位置を勝ち取り、フル出場で1-0の勝利に貢献した道のりを、こう振り返った。
「自信を持って岡山に移籍してきて、絶対に試合に出るというつもりで(始動から)6週間やってきました。やり切った結果、開幕戦で使われたのだと思います。大観衆の中で開幕戦を戦えて楽しかった」
開幕戦の観客数は1万2434人で、ホーム初戦としてはクラブ史上最多だった。徳元は31分にゴール前中央でパスを受けると、加入後初シュート。利き足とは逆の右足だったこともあり、枠を捉えなかったが、「シュートがあるよ、というところを見せておけば、次はパスを出せてチャンスメークができる。サイドバックでチャンスメークができるチームになれば、去年以上の得点を取れると思うので、もっと追求、要求しながらやっていきたい」というイメージにつなげている。
那覇西高(沖縄)、城西国際大を経て2018年に琉球に加入。1年目からJ3リーグ31試合に出場するなど主力として活躍し、J3優勝・J2昇格に貢献した。昨季もJ2で35試合に出場するなど、故郷のクラブで活躍を続けていたが、今季は強い気持ちで新天地を求めたという。
「プロ1年目から地元の沖縄でプレーして、J3で優勝し、J2に昇格しました。沖縄県民の方のサッカー愛が高まってきたところでの移籍には寂しさ、悲しさもありますが、それに甘えていたらうまくなれない。J1でやりたいから移籍を決断しました。好きなクラブを離れても、上でやりたい、何かを犠牲にしなければいけない、という気持ちで。だから、今季はやってやるぞ、という気持ちです。J3からJ2への昇格は経験しましたが、J2からJ1への昇格は味わえていないので。ステップアップできるようにやっていきたい」
開幕戦では「しっかり守備をして、カウンターのときは前に出ていく形を作りたかったですけど、なかなかクロスのチャンスがなかった」と語る課題も残った。2月29日に予定されていた第2節は琉球とのアウェーゲームで、徳元にとっては特別な一戦となるはずだったが、新型コロナウイルスの影響で延期に。それでも「良いイメージはできています。僕のプレーを要求できる時間ができたので、もっと調整できると思う」と前向きに捉えている。
故郷への思いを胸に、「岡山に行っても頑張っているんだな、と示すことができた。沖縄の方もきっと応援してくれているだろうと思う」と語った徳元。持ち越しとなった琉球とのアウェーゲームが実現するまで、自身とチームのレベルアップ、さらにはJ1昇格への道のりを進んでいく。
文◎石倉利英 写真◎石倉利英