上写真=オフ明けの25日の練習で指示を送る有馬監督(写真◎石倉利英)
42試合の長丁場に備えて
2月23日、ホームのシティライトスタジアムにツエーゲン金沢を迎えてJ2リーグ開幕戦を戦ったファジアーノ岡山は、1-0で勝利を手にした。0-0で終盤に入った80分、FWイ・ヨンジェがCKから挙げたゴールが決勝点となっている。
オフを挟んで再開した25日の練習後、有馬賢二監督は開幕戦について「ゲームコントロールができたことで、しっかり勝ち点3が取れた」と振り返った。「細かい(プレーの)質については、もっと上げることができる。特にビルドアップは、もっとできるだろうし、そのための判断も、もっとできる」と課題を挙げたものの、「開幕戦の緊張の中では、(しっかりとしたビルドアップは)簡単ではなかったと思う。その中で勝ち点3を取れたことは本当に大きい」と勝利の価値を強調した。
前半は金沢にシュートまで持ち込まれる場面があったディフェンスも、徐々に安定感を増した。「センターバックが(金沢のFW)ルカオをつぶせて、セカンドボールも、ボランチやサイドハーフが帰っていたし、GKは裏をしっかりケアしていた」と指揮官が振り返ったように、競り合った試合展開の中で無失点に封じたチーム全体のディフェンスが、勝ち点3を引き寄せる結果につながった。
開幕戦勝利を喜ぶ一方、全42節の長丁場となるJ2を戦い抜くために必要なものも見据えている。「一つの試合だけ見ても、速い攻撃だけではゴールを取り切れない。ゲームコントロールの面でも安定したポゼッション、ビルドアップが大事で、ボールを保持できることが必要」と語った有馬監督は、「昨年は、ある程度のメンバーはできたけれど、そのメンバーが欠けたとき、できない部分が多かったと感じた」と指摘。「出ている11人の質を上げなければいけないし、誰かが変わっても、ある程度できなければ、42試合を安定して戦っていくことはできないのかな、と学んだ」と、就任1年目でJ2リーグ9位だった昨季を振り返った。
過酷なJ2を戦い抜く選手層を手にするために「競争も必要だし、競争しながら質を上げていくことも大事」という有馬監督。取材後、3月15日開催予定分までのJリーグ全公式戦の延期が決まり、今後に向けて不確定要素が多いものの、チーム力の底上げに向けては、個々のレベルアップが不可欠との考えをあらためて強調した。
文◎石倉利英 写真◎石倉利英