上写真=今季から大宮に加入したMF菊地(写真◎Getty Images)
■2020年2月9日 さいたまシティカップ(NACK5スタジアム大宮)
大宮アルディージャ 0-1 クラブ・ナシオナル
得点者:(ク)ティアゴ・ベシノ
2シャドーの一角で先発
いきなり、チャンスがやってきた。開始5分、ゴール右からのパスの先にいたのは菊地だった。エリア内からシュートを放ったが決め切れず、「堅くなりました。ウォーミングアップでは結構シュートが入っていたので、『今日はあるかな』と思っていたんですけど」と苦笑いした。
大宮が昨季から敷く3-4-2-1のフォーメーションで、2シャドーの一角に入った。スペースをつくり、ゴール前にも顔を出す積極性で、攻撃の活性化を狙った。後方からのビルドアップがうまくいかず、チーム全体でシュート5本に終わった大宮だが、そのうち2本は菊地が放ったものだった。
組み立てで苦しんだのは、相手のプレッシャーでミスが出たためだった。「後ろからつなごうとする意識がみんな高いんですけど、相手がプレッシャーをかけてきたときには、もう少し遠くを見たりとか、遠くにいる選手が準備をすることが必要だったんじゃないかと思います」。湘南では長いボールも使ってのダイナミックな展開も経験してきただけに、菊地の言葉には説得力がある。
修正というよりは、プランの追加。大宮には、菊地のアイディアを生かす土壌もあるようだ。ハーフタイムにはロッカールームで選手同士、多くの意見交換をしたという。「自分が思ったことをみんなが発言する雰囲気がある。それはこのチームの良いところだと思います」と、新天地で自分を出せそうな予感がある。
キャンプでは、大学時代にプレーした最終ラインも含めて、さまざまなポジションに入った。「まずはどのポジションであっても試合にたくさん出て、勝利に貢献するというのは大きな目標」というが、個人的なターゲットもある。
「ポジションがどこであれ得点は常に狙っているので、2ケタを目指してやっていきたい」
この日の逸機は、ご愛敬。“本番”のリーグ戦でゴール前に飛び込む姿を、菊地は何度も披露するはずだ。シーズン終了後には、ゴール数が背番号の「9」を超え、チームがJ1へと到達するために。
取材◎杉山 孝