11月1日の明治安田J1リーグ第13節で、横浜F・マリノスは川崎フロンターレから今季最多の4ゴールを決めた。中でも、スタンドもピッチもベンチも歓喜に沸いたのは、3点目だったのではないか。谷村海那が決めた、6試合ぶりのゴールである。

上写真=3点目を決めた谷村海那を仲間たちが祝福する。みんなが待っていた(写真◎J.LEAGUE)

■2026年11月1日 J1第13節(観衆40,738人/@日産ス)
横浜FM 4-2 川崎F
得点:(横)遠野大弥、近藤友喜、谷村海那、ジェイソン・キニョーネス
   (川)フィリップ・ウレモヴィッチ、大関友翔

「ずっと寄り添ってくれていました」

 谷村海那に待望のゴールが生まれたとき、喜びを弾けさせたのは仲間たちで、本人は少し照れくさそうな、安心したような雰囲気だった。

「いやもう、ほっとしたというか、その前にキーパーとの1対1も外してたので、本当にもっと取らなきゃいけないな、と思って、点なんか気にしてなかったです」

 取れたことより、取れなかったことに心を持っていかれて、素直に喜べなかった。

 初めて日本代表に選ばれて、9月28日のベネズエラ戦でデビュー、10月1日のエクアドル戦にも出場し、期待が高まって横浜F・マリノスに帰ってきた。でも、そこからどうしてもゴールを決められなかった。

「本当に取れないな、うまくいかないなとは思ってました」

 その間、自分のプレーに新たな色を加えることにトライしていた。

「自分が苦手なところに取り組まなきゃいけない、そういう一心でやって、それが本当にうまくいかず、それでゴール前に入る回数が減ってしまって。それを考えたときに、やっぱりオレはゴール前だ、ということが今回ではっきりできたので、それはよかったかな」

 プレーの幅を広げるためには、これまで取り組まなかったことに向き合う必要があった。

「後ろに下りるタイミングや、3人目で関わるパスを要求すること、そういう(遠野)大弥とか(天野)純さんに任せていいところまでやろうとしていたのが自分のダメなところだった。今回はもう下(後ろに下がったエリア)は大弥に任せて、ゴール前でやっていこうとコーチとも話したので、それがうまくはまったのかなと思います」

 そのゴールは41分に生まれた。右サイド深くからのクロスをファーで宮市亮がヘッドで折り返し、中央で谷村がヘッドで流し込んだ。ゴール前でボールを待ち続けたからこそのフィニッシュで、実に6試合ぶりの一発をもぎ取った。

「代表活動のときにはそういうこともやらなきゃいけないと言われていて、自分が上に行くためにやっていたことなので、後悔はないです。でも、結局、上に行くにはもうゴールしかない、という切り替えができたのでよかった」

 やっぱりゴール前、という確信は、もしかしたら新しいことにトライしなければ、本当の意味で分からなかったかもしれない。

「悩みの時期というか、ただただやらなきゃいけないことをやれたらもっと幅が広がるということに挑んでいて、それがうまくいかなかっただけ」

 横浜FMの仲間たちもその様子には敏感だった。遠野大弥が明かした谷村への思いは、こうだ。

「彼にしかできないことはあるし、代表に行ってから学ぶものが増えたり、悩みもあったと思うんです。それでも今日決めて、さすがだなって思いましたし、決めれば乗ってくると思うので、本当に大きな1点だと思います」

 谷村もそのアンサーとして「自分も大弥のゴールがうれしかったので、(自分のゴールを喜んでくれて)それはよかった」と笑った。ほかの仲間たちに対しても「練習でも全然決められず、うまくいかず、そんなときでもいい声をかけてくれて、ずっと寄り添ってくれていました。いつかゴールで応えなきゃいけないと思ってプレーしていたので、それができてよかった」と感謝した。

 でも、すぐさま引き締め直した。

「(ラストパスは)要求していたことなので感謝していますけど、もっともっと増やして、チャンスをくれたらもっと取れる自信はあるので、回数を増やしていけたらなと思います」

 挑んで、もがいて、取り戻した自分自身。この1点を、再びゴールラッシュが始まるきっかけにしたい。


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