明治安田J1リーグの第12節終了時点で首位に立つFC町田ゼルビアの望月ヘンリー海輝は、11月にホームで5試合を戦うチームのキーマンと言えるだろう。シーズン序盤は出場機会が限られていたものの、出場するたびにその力を示すと、日本代表の9月・10月シリーズでは追加招集を受けた。コンディションも上向き、今、乗っているDFに話を聞いた。

上写真=日本代表の活動を終えた直後に取材に応じた望月ヘンリー海輝(写真◎FC町田ゼルビア)

日本のトップ・トップの選手が集まっているクラブ

 FC町田ゼルビアに所属するDF・望月ヘンリー海輝は、2024年にプロとなってから様々な経験を積んできた。ここまでのキャリアについて、望月は「サッカーをやれて、サッカーをやりながら生活させてもらっているので、すごく楽しく過ごさせてもらっています。そのなかでも『山あり谷あり』っていう表現が正しいのか分からないですけど、楽しいこともあれば、耐えることもあります。比較的みんなが過ごしているような日々、人生を、サッカー中心に過ごさせてもらっている感覚です」と言って笑った。

 J1昇格初年度のクラブで開幕戦から出場機会を得ると、ルーキーイヤーから森保一監督の率いる日本代表にも選出される。2025シーズンも、いわゆる『2年目のジンクス』とは無縁。レギュラーに定着し、クラブ初タイトルとなった天皇杯優勝にも貢献した。日本代表でも初キャップを刻み、勢い付いていた。しかし、J1百年構想リーグでは出場機会を減らし、目標とした北中米ワールドカップ(W杯)には出られず。2026−27シーズン序盤はベンチを温める機会も少なくなかった。

 プロサッカー選手として、濃密な時間を過ごしているが、彼にとっての「山」と「谷」は非常に明確だ。

「試合に出ているときが『山』で、出られていない時が『谷』ですね。やっぱり試合でプレーしないと…。それがサッカーをやっている意味じゃないですが、ゲームがやりたくてサッカーを始めましたし、試合に出ることが一番自分のなかでは大事なので」

 プロになって2年間「山」をのぼっていた望月は、百年構想リーグから直面した「谷」をどう受け止めているのか。

「一番大きいのは実力の部分ですし、コンディションの部分も影響しているかなと思います。本当に日本のトップ・トップの選手が集まってきているクラブなので、そこに追いつけていない部分や追いつけていても安定感に欠けていたり、シンプルに強度が足りなかったり。あとはケガとの付き合い方を含めた自分のコンディション管理の問題ですね」

 実際、町田には各ポジションに日本代表クラスの選手がズラリと顔をそろえている。今季のチームを見れば、望月の本職である右ウイングバックには中村帆高。192センチの長身を武器にできるセンターバックにもDF昌子源を筆頭にDF岡村大八、DF菊池ダビド流帆に加え、DFトーマス・アウエヤン、DFドレシェヴィッチ、DFキム・ミンテと外国籍選手が3選手もいるのだ。

「大前提として、(起用される)ポジションを選ぶのは、監督やコーチングスタッフですし、(右ウイングバックとセンターバック)どちらでも僕の良さは生かせるんですけど」

 そう前置きをした上で、望月は自身の考える適正ポジションについて言葉を続けた。

「より攻撃面を生かせるウイングバックが、自分には良いかなと思います。センターバックでは配球することが多くなりますが、ウイングバックで配球される側になった方が、僕のスピード、ダイナミックさがより生きると思うので、どちらかと言えばウイングバックが良さそうだと思っています」

 天皇杯の決勝で本職の3バックのようなプレーを見せた望月だが、第7節の横浜FM戦(△1−1)での試合終了間際の同点ゴールや柏戦(●2−4)でFW相馬勇紀のゴールに繋がったクロスを上げる前の推進力は、Jリーグでもトップクラスの個の力を感じさせた。10月に追加招集という形とはいえ、森保監督が町田で完全にレギュラーではない望月を日本代表に呼び寄せたのも、そのポテンシャルを感じているからだろう。

 望月自身は、複数のポジションをこなせるポリバレントな選手を目指す考えがあるものの、課題も感じている。3バックの右を務めた天皇杯での活躍については「ビギナーズラック的なもの」と表現した。

「最初は思い切ってやれるじゃないですか? 『オレはやったことないし』『できなくても仕方がない』っていう言い訳というか。自分のやれるディフェンスを割り切ってやろうと思ってやるんです。でも、それができるようになると『もっといろんなことができるようになりたい』と思うようになるじゃないですか。そうなると慣れていない分、感覚でやれない部分が出てきて難しさが出てくるんです。天皇杯の時は割り切って『これをやろう』と思ったので、良い方だけ、得意なところだけを上手く出せていた感じです」

 それでも、高さやスピードといった明確な個の力があるだけに、今後も最終ラインで起用されることもあるだろう。右ウイングバックで出場した試合でも、最終盤でスクランブル的にゴール前を固める役を任されることもありそうだ。プレーするポジションを替える際、頭の切り替え方には、昨季まで町田にいた元日本代表DF中山雄太が参考になったという。

「雄太くんは3バックの左もやれば、左ウイングバックも、ボランチもやっていました。それはこれまでのキャリアで重ねてきた経験値があっての幅の広さだったと思います。雄太くんほどになるのは、簡単なことではないんですけど、多くのポジションがやれるに越したことはないと思っています。特定のポジションでスペシャリストになるのも一つの方法ですが、監督やコーチの視点からすれば『このポジションはスーパーだけど、こっちもやれるよね』という選手が、使いやすいと思うので、自分的にはプレーの幅を広げていきたいです。ただ、どっちも中途半端にすると、右ウイングバックには右ウイングバックのスペシャリストがいるし、センターバックにはセンターバックのスペシャリストがいるので、どっちも勝てないと試合に出られなくなるので難しいところもありますが、理想はそんな感じです」


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