明治安田J1リーグの第12節終了時点で首位に立つFC町田ゼルビアの望月ヘンリー海輝は、11月にホームで5試合を戦うチームのキーマンと言えるだろう。シーズン序盤は出場機会が限られていたものの、出場するたびにその力を示すと、日本代表の9月・10月シリーズでは追加招集を受けた。コンディションも上向き、今、乗っているDFに話を聞いた。

声援を「バフ」にして11月のホーム5試合へ!

画像: シーズンが進むにつれてコンディションを上げ、存在感を高めている望月(写真◎J.LEAGUE)

シーズンが進むにつれてコンディションを上げ、存在感を高めている望月(写真◎J.LEAGUE)

 右のスペシャリストになりつつ、センターバックでもオプションになれる存在。前述のように右ウイングバックにもセンターバックにもスペシャリストがいる町田は、望月にとって教材の宝庫でもある。「上を目指しているチームなので、そういう選手がそろうのは当たり前ですし、競争しながら高いレベルの選手たちを見て、良いお手本として、彼らを越えていければ自分も高いレベルに到達できると思うので頑張っています」。そう言ってし烈な競争のある環境に感謝した。

 ただし、周囲からは懐疑的な目を向けられる状況でもある。試合に出られなければ、「日本代表なのに?」と言われる。「選ばれた直後は、そういう声も気になっていた」と認める望月は、「試合に出られないのは、自分の力不足でしかありません。試合に出られれば一発解決なのですが、みんなスーパーですし、僕はゲームや何かの主人公でもないので何事もすべてがうまくいくわけじゃない。それを周囲からどう見られるかは、僕が何かできる問題じゃないので、出るために何をするかだけを考えられるようになりました」。

 周囲のノイズに左右されないこの『鈍感力』こそ、注目を集めるプロ生活で得られた大きな武器と言えそうだ。第9節の京都戦では、サイドでボールを失って大ピンチを招き、スーパーセーブでチームを救ったGK谷晃生に叱られるシーンもあった。

「後ろを向いた時にパスコースがあるかなと思って反転したのですが、割と相手に囲まれてしまって…。みんなが角度をつくれる状況になかったので、外に切っちゃえば良かったんですけど。それを谷くんにも言われましたし、サッカーをやっていたらミスは起きます。やってはいけないミスをしないのが一番ですが、今回のようにチームメイトが助けてくれることもありますし、逆に僕が助けることもあるので。その回数を、自分が助ける回数をこれから増やしていけたらいいなと思います」

 実際、望月がチームを助けるシーンは増えてきている。横浜FM戦の同点ゴールやこのインタビュー直後に行われたAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)のタンピネス・ローバース戦(○1−0)では、後半のアディショナルタイム4分に決勝点を記録。続く福岡戦(3−0)でも1得点1アシストの活躍で、攻守に渡って存在感を示している。

 アウェーゲームの多かった10月、復調を予感させている望月は、6試合中5試合がホームゲームになる11月に向け、静かに闘志を燃やす。

「どの試合も勝たなければいけないという意味で、僕はホームゲームも、アウェーゲームも、重みはあまり変わらないと思っているんです。もちろん、ホームは応援してくれる人数は多いですが、先日のアウェーの京都戦のように遠くまで来てくれる人たちももちろんいます。DAZNを通じて見てくれている人もいますからね。どこで戦っていても応援してくれる人はいますし、ホームで勝ったからといって、勝ち点6がもらえるわけでもありませんから、ホームも、アウェーも優劣があるわけではありません。どの試合も重い試合ですし、そこは全部頑張ります」

 そう言って少し申し訳なさそうにはにかんだ望月は、試合で見せる鮮やかな切り返しのごとく、インタビューをまとめた。

「僕ら選手は、どの試合でも100パーセントのパワーを出し続けます。そこでホームの声援をもらうことで、僕たちの出せる力が100から、1.2倍になったりするんです。例えば、相馬くんがボールを持った時に『ワーッ!』って起こる歓声とか。ああいうのを聞いて相馬くんが実際にどう感じているかは分かりませんが、声援を受けて『バッ』と、より力が出ているなと感じることもありますし、僕がボールを持った時も歓声をもらうとすごく力をもらえるので。伝わるかわかりませんが、『バフがかかっているな』って感じるので、ぜひ、11月も一緒に戦えたらなと思います」

 バフとは、キャラクターやプレーヤーの能力を一時的に引き上げて有利にする効果のことだ。声援を受け、バフがかかった望月のプレーが続けば、チームも望月自身も、もっともっと高みを目指せるはず。誰もが認めるポテンシャルを持つ望月、その潜在能力を解放される日は、きっと遠くないはずだ。

取材・文◎河合拓


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