ヴィッセル神戸の最終ラインを支えるDFマテウス・トゥーレルがクラブへの思いと2026ー2027シーズンへの抱負を語った。勝者のメンタリティを持つチームに相応しいのは『タイトル』だと言い切った。

責任を伴うプレッシャーは「大好物」

画像: 開幕戦となったアウェーの福岡戦で勝利に貢献(写真◎J.LEAGUE)

開幕戦となったアウェーの福岡戦で勝利に貢献(写真◎J.LEAGUE)

 トゥーレル自身も『勝者』のひとりであることは言うまでもない。

 キャリアを重ね、チームの主軸としての自覚もある。時に、その腕にキャプテンマークを巻くなどリーダーシップを発揮しながら、チームを鼓舞し続けている印象も強い。ヴィッセルのエンブレムを胸に戦う『責任感』も年々、大きくなっているという。

「もともと僕はどちらかというと気性の荒い性格でした。その責任感はヴィッセルに加入したから備えられたと受け止めています。正直、来日したばかりの頃は20代前半でまだ若く、手本になってくれる選手、スタッフ、通訳の栄次(公文)がいなければ、間違いなく今の自分はなかった。彼らがそばにいてくれたから、困難に直面した時、悩んだ時、自分をしっかりと見つめ直すことができました。仲間に恵まれたおかげで、自分は自分らしくあればいいと思うことができましました。同時に、そうした過程を過ごせたから、このクラブが自分の家だと思えるようになり、それがクラブへの愛着や責任感に変化してきたのだと思います」

 しかも、責任感に伴うプレッシャーも「大好物だ」とも話す。目の前に立ちはだかる壁やプレッシャーが大きいほど成長できると考えているからだ。

「プレッシャーが大きいほど強くなれると思っていますし、僕はそれに耐えられるメンタリティも持っています。実は5年ほど前からアスリートとしてだけではなく、人としても成長するためのメンタルセラピーを続けていますが、そうした時間も僕の助けになっています。この世界では勝つこともあれば、負けることもあるし、いい時ばかりではありません。悔しい経験やナーバスな状況に陥ることだってあります。ですが、そうしたネガティブな要素からも学ぶことはたくさんあります。大事なのは恐れないこと。自分を信じて進むだけだと思っています」 

 その責任感を目の当たりにしたのがサウジアラビアでのACLE2025ー26ファイナルズだった。出発直前に戦った百年構想リーグ第10節・名古屋グランパス戦の終了間際、接触プレーによりピッチに倒れ込んだトゥーレルは、そのまま救急車で病院に搬送。ACLEへの出場が危ぶまれたが、結果的にやや遅れてサウジアラビアに入ると、前歯を4本折った状態のまま準々決勝・アルサッド戦、準決勝・アルアハリサウジ戦のピッチに立った。

「ドクターはもちろん、クラブとも話し合いをする中で、僕は『絶対に戦える。(サウジアラビアに)行きたい』と伝えて、ドクターもストップをかける理由はないと判断し、クラブも僕の思いを尊重してくれました。ACLEはチームとしても、個人としても本当に大きな経験を積める舞台です。クラブ規模としても自分たちより格上のチームと勝負することで、国内戦とは違う学びを得ることができます。純粋に自分もその経験を積みたかったというのが一つと、あとはやはり『アジアチャンピオン』への思いからです。今年に入り、個人的にはずっと調子も良く、常にACLEの戦いに照準を合わせてコンディションを作ってきました。それをクラブの目標に何としてでもつなげたかった。残念ながら、ファイナルズでの2試合は完全にはコンディションが戻らず、チームとしての結果も準決勝で敗れてしまいましたが、それでもピッチに戻れたこと。仲間と最後までタイトルを目指せた経験は僕を強くしてくれたと信じています」

 そのときに味わった悔しさも、2026ー27シーズンに繋がるものだと確信しているという。

「先の北中米ワールドカップでも、国の威厳をかけて戦う世界レベルの選手たちは、どんなシチュエーションになっても最後まで絶対に試合を投げることはありませんでした。勝っていようが負けていようが細部にまで目を行き届かせてポジションを修正し、チームを好転させるための動きを続けていました。そうしたプレー、彼らの技術から学ぶことも多かったですが、何より彼らがみなぎらせていた『絶対に負けたくない』というメンタリティは、改めて大きな学びになりました。先ほどもお話しした通り、ヴィッセルにもそうした勝者の選手はそろっています。チームとして最後まで勝利を目指せる強さも備えています。今シーズンも僕たちが学び続けてきた経験を結果として表現しながらタイトルを勝ち取れるクラブでありたいと思います」

 謙虚さと自信、そして揺るぎない勝者のメンタリティを携えて、トゥーレルは熱き戦いに臨んでいる。

取材・文◎高村美砂[フリーランスライター]


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