上写真=稲村隼翔は厳しく守って、前回対戦の屈辱を乗り越えた(写真◎J.LEAGUE)
■2026年4月29日 J1百年構想リーグ第13節(観衆:13,073人@三協F柏)
柏 1-3 FC東京
得点:(柏)中川敦瑛
(F)遠藤渓太、佐藤龍之介2
「ならば、やってみろ」
「サッカーって面白いな、って」
稲村隼翔がしみじみ感じたのは、大森理生とセンターバックでコンビを組んだことだ。
FC東京のアカデミーで育った同い年の仲間。FC東京U-15深川から前橋育英高、東洋大、アルビレックス新潟、セルティック(スコットランド)と歩んだ稲村と、FC東京U-15むさしからU-18と進んでFC東京でプロになり、FC琉球、大宮アルディージャ、いわきFC、FC今治で武者修行を繰り返してから復帰した大森の歩みが、ここで重なった。
2人は松橋力蔵監督の目の前で「直訴」したことがあったと、監督が明かす。
「非常に素晴らしいパフォーマンスをしてくれたと思っています。微調整はやはりまだまだありながらですが。ただ、あの2人がいつか2人で出たいねという話を僕の目の前でしたことがあったので、ならば、やってみろ、と。そういう点でも非常に評価できるゲームだったと思います」
1失点はしたものの、指揮官から高い評価を得た。
「1本、キーパーから蹴られたボールにお互いが行けなくてキーパーまで下げちゃったことがありましたけど、それ以外はうまく対応できたと思うし、1対1のバトルのところでも負けずに、カバーもし合っていたので、理生とはすごくいい関係だったかなと思います」
稲村自身もコンビでのプレーに手応えを得た。それでも、勝利を手にしたことで引き締まる思いもある。
「(アレクサンダー)ショルツにずっと頼っているわけにもいかないですし、自分自身もリーダーとしての自覚を持たないといけない。だから、若い2人で勝てたのはすごくよかったかな」
自らをチームを牽引する立場へと「指名」するのだった。
「はい、できました」
それに、この柏戦では大きなリベンジに燃えていた。
前回対戦は0-2で敗れているが、自分が空中戦で競り負けて垣田裕暉に先制ゴールを奪われ、瀬川祐輔の2点目もシュートを一度はブロックしたものの、跳ね返りをそのまま目の前で決められたのだ。
この日は細谷真大が相手。
「細谷選手とやるときは毎回楽しみで、実際にすごく楽しみながらプレーできて、今日も楽しかったです」
柏は前半、いつものように細かく崩しに来るというよりも、細谷の裏抜けやポストプレーを生かすような中長距離のパスを多用した。それにもしっかり対応して、細谷にシュートを1本しか打たせなかった。
「(勝負は)五分五分だったかな。ファウルになってしまったところもあったので、もう少し圧倒したかったなと」
しかし、その細谷の姿は後半にはなかった。
「柏ではこういう交代はよくあることですから。でも、前半でフォワードが代わるのはセンターバックからしたらありがたい」
稲村が交代に追い込んだとも言える。そして、代わって後半から出てきたのは、あの垣田。
「垣田選手の方が苦手なんで。プレッシングもすごく速かったし、勢いもあったので難しかったですけど、最後の際のところは抑えられたので良かったかな」
垣田のシュートはゼロ。リベンジはできた? の問いに「はい、できました」と即答して清々しく笑った。
それでも、90分を通して総合的に振り返れば、アウェーでの3-1の勝利も「決して理想的な戦いではなかった」という。
「相手にボールを持たれる時間が多かったので、逆に自分たちが持てるようにならなければ。強者の戦い方じゃないですけど。そういうチームになっていきたい」
3連勝で好調は揺るぎないが、突き詰めるところはまだまだいくらでもある。だから、稲村がいま向き合っているサッカーは、面白い。
