上写真=川崎Fのサポーターの前で勇躍したイサカ・ゼイン。彼らに直接あいさつに行けなかったことを残念がった(写真◎J.LEAGUE)
■2026年4月25日 J1百年構想リーグ第12節(観衆:21,492人@U等々力)
川崎F 2-1 千葉
得点:(川)山本悠樹、マルシーニョ
(千)石尾陸登
「やり直すならまた川崎で」
「あいさつに行けなくて申し訳なかったんですけど」
イサカ・ゼインがそんな特別な思いを向けた先は、川崎フロンターレのサポーターだ。このクラブでプロになって、2021年まで所属していた。当時から声援を送ってもらったことを忘れるわけはない。
あれから5年。ようやくの凱旋が実ったのに、彼らに感謝を直接伝えることができず、残念がった。
川崎Fの一員として等々力陸上競技場でプレーできたのは、2021年の天皇杯2回戦、長野パルセイロ戦のたった1試合。あの頃は本当に苦しんでいた。
だから、リーグ戦ではこの日が初めてのこと。ユニフォームの色は変わったが、いつかこの場所で、という思いを、ようやくぶつけることができた。
「やっぱり楽しみにしていました。ここではなかなか試合に出られなくて、今日は相手としてですけどプレーしていて楽しさはありました。だからこそ、結果をつかみたかった」
先発メンバーに名を連ね、65分までプレーしたが、1-2で敗れた。結果が出なかったことに対する自分への怒りは隠さない。
「初めて戻ってきたので爪痕を残したかったですし、それだけにやっぱり悔しい気持ちが大きい。まだまだ力不足だと感じた試合になりました」
それでも、川崎Fを一番苦しめたのは背番号42のこの男だろう。5年前からはるかにパワーアップしたドリブルで右サイドを何度も破ったし、かつて自分を支えてくれたサポーターから悲鳴が上がったシーンもあった。28分のミドルシュートだ。
FKのこぼれ球を右寄りの位置から右足で力強く叩くシュート。逆サイドに飛んでいった強烈な一撃はしかし、惜しくもバーに弾かれた。
でも、その「惜しい」はいまのイサカにはまったく必要がない。
「結果だけを求めてきたので、ちょっと惜しい、とか、そういう気持ちで終わりたくないと思って試合に入りました。でも、結果が出なかったし、チームも勝てなかったので、負けという感覚です」
その悔しさとともに、あの頃に思いを馳せてもいた。
「(川崎Fに所属していた)当時はめちゃめちゃ悔しかったですし、正直、先も見えなかった。あれだけのメンバーの中で毎日毎日がもう決勝戦みたいな感じでプレーしていました。もう一度、プロのキャリアを始めるとしても、やり直すならまた川崎でやりたい、と思えるような経験でした。本当に自分のサッカー人生において大切な時間でした」
5年後の凱旋マッチはこうして終わった。そしてその瞬間から、またここでプレーしたいという熱望が湧き出てきた。
「また来シーズン、ここに帰ってきて、スタメンで出て活躍したい、という気持ちがいまあります」
そのときこそ、胸を張って千葉のサポーターとともに勝利をたっぷり味わいたい。
