上写真=チームの2点目となるゴールを決めた直後の中川敦瑛(写真◎J.LEAGUE)
自分たちは常に目の前の試合に勝ちに行く
優勝戦線に残るために、柏にとって18日のG大阪戦は大一番だった。前日、首位鹿島が神戸と引き分けに終わり、勝てば、その勝ち点5差から3差に詰められる。
「(試合の)入りも自分たちで良かったですし、前まで課題だった得点力っていうところでは、前半3点取れたのが大きかったかなとは思います」
開始15分、小泉佳穂の先制点に続いて、G大阪の心を折るゴールを決めた中川は、そう振り返った。
「練習でも、(ゴールの起点になった)佳穂くんは、ああいう視野の広さを持っている選手なんで、最初は自分に(パスが)出るのかなと思ったんですけど、自分の頭を越えた時に反応して、ジエゴ選手がいい形で落としてくれたんで、冷静にトラップして流し込むだけでした。本当に2人に感謝したいです」
左サイドからボックス内に入り込んだジエゴに小泉からパスが出る。その瞬間、中川もゴール前に走り出す。そこへジエゴが胸で折り返し、最後は右足で蹴り込んだ。
縦横無尽に動く中川のプレーは後半も効いていた。ジエゴのこの日2点目となるチームの4点目を演出する。51分、相手の守備者2人との間合いを計りながらボールを運び、その間にボールを通してボックス左角へパス。受け取ったジエゴは鋭い反転から右足で決めた。
優れた状況判断と的確なプレー選択、そしてそれを可能にする技術。法政大から今季加入したルーキーは、優勝戦線に残るために重要な一戦で躍動した。
ボランチでコンビを組んだ戸嶋祥郎は「中川もそうですし、山ノ内(佑成/東洋大4年)もそうですけど、大卒1年目や大学生で、これだけ結果を出せる、良いプレーをできるっていうのは考えられないというか。もう、脱帽です」と賛辞を惜しまなかった。
「変に他の試合に影響されることなく、自分たちは常に目の前の試合に対して勝ち点3を取りにいくという姿勢で全員がやっています。
得失点も響いてくるとは思っていますが、今日も佳穂くんが(試合中に)『もっと取りに行くぞ』と。ああいった選手がいるから、自分たちは満足せずにどんどん高みを目指していけるのかなと思います。そう考えると、あと何点か取れるシーンはあったと思うので、そこをもっと突き詰めたい。そうしてやっていけば、最終的に優勝できるのかなと思っています」
5点を奪っての快勝にも満足は一切なし。気持ちの充実と向上心が、プレーにも表れている。負傷した熊坂光希と入れ替わるように、6月15日の第20節東京V戦でリーグ戦初先発を飾ると、以降はスタートからピッチに立ち続け、チームの上位争いを支えてきた。中川は主軸の穴を埋めるだけに留まらない活躍で、今では欠かせない選手の一人になった。
「(優勝争いの)緊張感はありますけど、今日の試合も楽しんでできたので、引き続き楽しみつつ、(試合に)出たからにはしっかり責任感を持ってやっていきたい」
J1は残り4節。タイトル獲得のために中川はプレーを楽しみ、勝利のために全身全霊を注ぐ。
