浦和レッズが悩ましい課題をクリアした。8月31日の明治安田J1リーグ第28節で、アルビレックス新潟に1-0で勝利。公式戦2試合連続で逆転負けを喫していたが、今回は逃げ切った。鮮やかなカウンターの主役になった金子拓郎が、「逆転されないプレー」を意識的に繰り出していた。

上写真=金子拓郎はカウンターから冷静なパスで決勝点をアシスト(写真◎J.LEAGUE)

■2025年8月31日 J1第28節(観衆:30,968人@埼玉ス)
浦和 1-0 新潟
得点:(浦)マテウス・サヴィオ

「ちょんって出しただけ」

 30分の決勝ゴールのシーン。ダニーロ・ボザの縦パスを小森飛絢が倒されながらも落とし、金子拓郎がピックアップしたのがハーフウェーラインの手前。

「まず飛絢がフリックしてしっかりと体を張って落としてくれたので、そこは狙い通りでした」

 そこからドリブルでスピードアップした。

「運んでいるときにカバーに来た選手が自分のカットインを警戒して近いポジションを取っていて、(マテウス)サヴィオがフリーだったので出しました。あとはもうサヴィオのシュートがすごかった。自分はボールをちょんって出しただけって感じです」

 左に送った短いパスをマテウス・サヴィオがダイレクトでゴール右に蹴り込んだ。

 でも、出しただけ、ではもちろんない。最初に金子はボザのパスを自らスルーして相手を惑わせている。そのまま足を止めずに小森をサポートしている。ドリブルでしっかり相手を引きつけておいて、マテウス・サヴィオにダイレクトシュートを促すように、ボールをうまく置きにいく繊細なパスを送っている。

「(右サイドを走った中島翔哉のことは)見えてます。全部見えてます。両方見えていて、シュートも考えてましたけど、相手が自分のカットインを止めようと狙っているなと思って、食いついているということはサヴィオがフリーにないるということなので、そこに出したんです」

 決めたマテウス・サヴィオも練習通りと胸を張る。

「あのプレーは練習からやっていますし、まず小森選手の非常にいいポストプレーから、拓郎選手のいい運びからカットインして、僕に素晴らしいパスを出してくれました。自分が打ちやすいようにパスしてくれたので、うまく決められて良かったと思います」

 問題はここからだ。前節の柏レイソル戦、天皇杯準々決勝のFC東京戦では先制しながら2試合連続逆転負け。後半にひっくり返される悪癖を乗り越えたかった。

「自分のところでためを作ることだったり、相手をはがして前進していくところは後半は特に意識してやりました。もっともっと自分たちでボールをキープできれば、もう少し楽に試合を終わらせることができたと思うし、追加点を狙っていけるチームになると思います」

 後半に足が止まって相手にボールを動かされて逆転負け。そんな悪夢のシナリオを書き換えるには、自分たちでボールを持てばいい。金子はそのミッションを自分に課したのだ。

「2試合連続逆転負けで少し落ち込むところは少なからずチームとしてありました。でも、試合はすぐにやってくる。切り替えてこの新潟戦に勝つことだけを考えて、チームとして戦えたので、そこは良かった」

 屈辱的な連敗を意識しながらも、意識し過ぎない向き合い方。そうやって課題を一つ、乗り越えた金子と浦和の面々は、首位の京都サンガF.C.に勝ち点差7の7位から、大逆転優勝を狙って残り10試合に挑む。


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