上写真＝バングーナガンデ佳史扶は2ゴールに関与するプレーを見せた（写真◎J.LEAGUE）
■2025年8月16日 J1第26節（観衆：12,608人＠レモンS）
湘南 2-2 FC東京
得点：（湘）鈴木雄斗、鈴木章斗
（F）長倉幹樹、アレクサンダー・ショルツ
「支配しきるというプレーが」
FC東京は2点を先行しながら1点を返されて、さらに劣勢。MF野澤零温に代えてDF岡哲平を投入したのが85分で、5バックで守りを固めた。
ところが、その岡のクリアがゴールラインを割って与えたCKから、90＋7分という土壇場に同点ゴールをたたき込まれたのは、なんとも皮肉だった。
「とにかく悔しいです」
バングーナガンデ佳史扶はすべての人の気持ちを代弁した。勝ち点2がするりとこぼれ落ちたのだから、しかも5バックにしたあとに終了直前のセットプレーから失点したのだから、ほかに言葉は見つからない。
「2点目を取った直後に、テルさん（仲川輝人）が前から前からと言っていたし、（アレクサンダー）ショルツも常にそういう声をかけてくれていました。でも、実際はちょっと受け身になったのかな…」
松橋力蔵監督はシフトチェンジについて「最終的に長いボールが増えてくる」と湘南のパワープレーを想定し、しっかりはね返すためだと説明した。しかし、CKを与えたのはまさに相手陣内から放り込まれた長距離のFKからで、これを前に弾き返せなかった。
「守り切るということではなくて、自分たちのサッカーをやって支配しきるというプレーができればよかったのかなと。3バックにしてより後ろを固めるなら、徹底しなければいけなかった」
方法はどうあれ、佳史扶はやり切ることができなかったチームとしての力不足に唇をかむ。
個人に目を向ければ、収穫もあった。特に6分の先制ゴールは佳史扶の左足から生まれている。
右からのFKがクリアされて左に流れてきたところをいち早く拾った。そして、左足を振って中央へ。エンリケ・トレヴィザンがヘッドで落としたボールを、長倉幹樹が鮮やかなボレーシュートで決めたのだ。
「復帰してからいままで、リーグ戦でチームの得点につながる直接的なプレーができていませんでした。ああいうセカンドボールの流れのプレーは練習していた通りの形になって、セットプレーコーチのオグさん（小倉裕介コーチ）のおかげですし、競ってくれたエンリケに感謝ですし、決めきってくれたモトくん（長倉）にも感謝です」
52分にショルツが決めたPKも、佳史扶が左からペナルティーエリアにタイミングよく差し込んだパスから野澤が倒されて得たもの。2つのゴールのどちらにも関与して「結果」を残している。
負傷によりおよそ1年の欠場を経て、帰ってきた東京育ちの左サイドバック。ゴールを導いたこのクロスとパスを、さらなるステップアップのきっかけにしたい。
