上写真=西川周作は過去のクラブワールドカップの悔しさを晴らしに行く(写真◎J.LEAGUE)
■2025年6月1日 J1第19節(観衆:39,995人@埼玉)
浦和 2-1 横浜FC
得点:(浦)サミュエル・グスタフソン2
(横)ルキアン
「ああいう思いをさせたくない」
クラブワールドカップ前のラストゲームで、見事に逆転勝利。浦和レッズが勢いをつける白星をもぎ取った。
ただ、逆転したということは先に点を取られたわけで、ゴールを守るGK西川周作にとっては、やはり見過ごせない。
「試合の入りはよくてボールは持てるなという感覚で、でもなかなか点が入らないから、これはピンチが来るなと感じました。もう本当に、ワンピンチをやられてしまって」
43分、ルキアンの見事なミドルシュートに西川も反応して懸命に手を伸ばしたものの、破られた。自らのキックが相手に弾かれて回収されたところからがスタートだった。
「セカンドボールを回収できなかったですからね。人数はいたので、そこでいい対応ができればああいう状況にもならなかった。自分たちが狙いを持ってもできなかったときに、しっかり帰るところですよね。そこは監督もきつく言っていました。自分のところを越えたボールに対してしっかり戻る、走る、そういったところはやっていこうって」
しかし、ハーフタイムに予感に包まれた。
「なんかこれはいけるぞっていう雰囲気がすごいあって、結果、勢いづくような得点でした。素晴らしいホームの力を借りて逆転できましたね」
53分、サミュエル・グスタフソンのシュートをGK市川暉記がファンブルするような形で決まり、西川も「キーパーの気持ちはよく分かる」と思いやりつつも、83分にはCKの流れからまたもグスタフソンが蹴り込んで、逆転にまで待っていったチームの力を称えた。
試合後にはサポーターが作ったグラフィックを目にして、クラブワールドカップへの思いを新たにした。
「あのビジュアル見たときに、やっぱり浦和レッズのファン・サポーターが作り出してくれる雰囲気は本当に素晴らしいなと思いました」
思い出すのは、彼らが悔しがる顔だという。
「僕が覚えているのはやっぱり、マンチェスター・シティと戦ったサウジアラビアでのあの雰囲気。本当に悔しかったし、泣いて悔しがっていたファン・サポーターのことが頭の中に残っています」
2023年12月のクラブワールドカップ。準決勝でイングランドの強豪に0-3で敗れた。あれからおよそ1年半。大会フォーマットも変わり、32クラブが出場して4チームごとにグループステージから戦うスタイルになった。
「次に世界で戦うときはああいう思いをさせたくないですし、僕たちは結果を求めてアメリカに行くので、たくさんの方が期待してくれてる分、しっかりやらないといけない」
アルゼンチンのリーベル・プレート、イタリアのインテル、メキシコのモンテレイが立ちはだかる。
「初戦がいかに大事かは、いままでの経験で理解しています。リーベルとの試合によって2戦目、3戦目の戦い方も変わってくると思うので、まずは勝ち点を奪うことは必要になってくると思います」
世界の名門との3連戦では、現実的な判断も必要になる。だからこそ生まれる一瞬も見えている。
「我慢する時間は間違いなくあると思います。そこは想定していかないといけない。でも逆に、Jリーグのようにしっかりと組織で守ってくるようなチームじゃないかもしれない。一瞬のロングフィードで破れるスキは意外とあったりするので」
その左足から繰り出されるキックは正確無比。厳しい戦いの中で、西川のロングキックが浦和に勝利をもたらす瞬間が楽しみだ。