先制を許した柏レイソルだったが、土壇場で追いつき、FC東京と1−1で引き分けた。リカルド・ロドリゲス監督のもとでポゼッション志向の強いスタイルで戦うチームは、直近5試合で1勝4分けと勝ち切れない試合が続く。久保藤次郎はブレずにやり続けること、そして怖さを持つことが重要だと話した。

上写真=右ウイングバックで先発した久保藤次郎(写真◎J.LEAGUE)

このサッカーで上位に行きたい

 右ウイングバックで先発した柏の久保藤次郎にとって、この日のFC東京は「想定外だった」という。ハイプレスを自重し、ミドルゾーンで構えて守る。つなぐ柏を引き込み、ボール奪取から一気に攻めに転じる戦い方をしてきたからだ。

「結構引いてきましたし、(自分たちの)バックパスにもあんまり食いつかなかった。そこで自分たちがどうやって、戦うかでした。今までだったら相手が自分たちの攻め方を教えてくれるというか、相手が来たところで逆を突いたりできていましたが、今日の試合はどちらかというと、自分たちからアクションを起こして、吊り出して、どうやって崩すかが大事だった。そういうところはちょっと足りなかったのかなと思います」

 前半からボールは握った。しかし構える相手の外側をなぞるようなパスが多く、深く鋭くボールを差してそこから一気に守備組織を崩すような迫力は見せられなかった。つまりは「自分たちからアクションを起こす」機会は限られた。

 J1連覇中の神戸や町田が代表的だが、ここ2シーズンのJリーグはプレス強度が高く、ダイレクト志向の強いチームが優勢だった。その点からすると、今季の柏のスタイルは対照的だ。プレッシャーをかい潜り、パスを繋いでボールを前進させるのが、信条。近年、上位に進出しているチームとは異なるスタイルで戦うことについてどう思っているのか、久保に聞いた。

「簡単ではないと思います。でも、それで上位に行きたいと思っている選手たちが、リカルド監督のもとに集まってプレーしているのが今の柏だと思う。絶対にそこはブレないですし、むしろそういうチームに絶対に負けたくないという気持ちでやっているので。ただ口で言っているだけではなく、本当に結果で示すしかないと思います」

 久保自身は76分に中島舜と交代でベンチに下がったが、サイドでボールを呼び込み、仕掛ける姿勢を見せ続けていた。チーム全体でも、能動的に生み出したチャンスの数は柏のほうが多かった。

 ただそれでも試合は先制を許し、終了間際の後半アディショナルタイムにようやくネットを揺らして引き分けた。10試合を戦って4勝5分け1敗、チームは暫定3位につけるが、直近5試合は1勝4分け。勝ち点は伸び悩む。スタイルと結果をしっかり結びつけていく作業は、久保の言う通り「簡単ではない」。

「怖さがもっと必要だと感じます。こういうサッカーをやっていると、チームとして『ボールを持っているだけで点が取れない』と言われがちなので。だからそこにもっと怖さを出していきたい。クロスを上げて、跳ね返されたらもう1回拾って攻め続けるとか、畳み掛けるプレーをもっともっと出していけたら。
 一人ひとりが縦パスをもっと恐れず入れていったり、自分たちはシュートの本数が少ないと思うので、その本数を増やしていくことも絶対に必要。そういうところも一人ひとりが意識して、このサッカーでしっかり結果を出したい」

 信じて貫く先に待つのは、今季5度目の歓喜か。次節(20日)、柏は敵地で湘南と対戦する。

取材◎佐藤景


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