上写真=奥川雅也(左)のゴールを喜ぶ京都の選手たち。初白星をもぎ取った(写真◎J.LEAGUE)
■2025年3月1日 J1第4節(観衆22,404人/@U等々力)
川崎F 0-1 京都
得点:(京)奥川雅也

「戦術として勝負にこだわった」
川崎フロンターレが入れ替えた先発メンバーは、実に10人。前節から中2日で迎えたゲームで、さらにはこの日のうちに中国に渡って中3日でAFCチャンピオンズエリートのラウンド16第1戦・上海申花戦を戦うために、これまで出場機会の少ないメンバーが多くピッチに立った。
京都は10年ぶりに帰ってきた奥川雅也を初先発させ、左ウイングへ。原大智が右に回って立ち向かった。その京都が右サイドから攻めてチャンスを迎えたのが序盤だ。
特に13分にCKの流れから奥川がクロス、福岡慎平がヘッドで狙ったシーンは決めておきたかった。その後は川崎Fにチャンスが増えて、20分に山内日向汰が無回転ミドルで右下を狙ったが、わずかに外。22分には河原創の縦パスで抜け出したエリソンがゴールを襲ったが、シュートは逆足の右足で威力に欠けた。
スコアはやや意外な形で動いた。後半開始早々の49分、川崎Fの橘田健人が左サイドでプレスを受けてバックパス、これが味方に合わずに転々としているところを京都のラファエル・エリアスが拾って中へ、走り込んだ奥川雅也が左足で難なく蹴り込んだ。
川崎Fの長谷部茂利監督の決断は早かった。脇坂泰斗、家長昭博、マルシーニョを57分に一気に投入、77分にも山田新をピッチに送り込んで、ゴールへの圧力をかけ続けた。
特にスタンドが湧いたのは70分台だ。71分に佐々木旭の右からのクロスにマルシーニョが飛び込んでヘッド、76分には左からのマルシーニョの折り返しに家長昭博が左足で合わせた。前者はGK正面、後者はわずかに左に外れ、大きなどよめきとため息がスタジアムを包んだ。
このあとも86分に家長の右足のジャンピングボレーシュート、88分のエリソンの強烈な左足シュートも見られたが、いずれも枠をとらえられなかった。
今季未勝利の京都は、前節のヴィッセル神戸戦でも先制しながら終了直前に追いつかれて、勝ち点を失ったばかり。先制したあとの残り時間をどう戦うかが試された。
その覚悟は監督采配にも表れた。77分に米本拓司を入れて中盤を引き締め直して川崎Fの攻撃を食い止め、途中投入された平賀大空を最後に下げてまで5バックに切り替えてアディショナルタイムを乗り切った。「戦術として勝負にこだわった」と曺貴裁監督。
そして、ついにタイムアップ。京都が1点を大事にしながら川崎Fの良さを最後まで封じてうれしい初勝利をもぎ取った。「前節の反省を生かしていいプレスからいいゴールが生まれた。全員で取った初勝利」と曺監督は選手たちを称えた。