開幕戦で激しくタフな戦いを繰り広げた東京ヴェルディだったが、清水エスパルスに1ゴールを許し、一方でネットを揺らすことができずに0−1で敗れた。昨季、昇格組ながら6位に食い込んだ力を2025シーズンも示すことができるか。Jウォッチャーが期待を込めてコラムを綴る。

上写真=悔しい敗戦を噛みしめるキャプテン森田晃樹と染野唯月(写真◎J.LEAGUE)

頑張らせられなかった僕の問題(城福監督)

 国立競技場でのヴェルディ対エスパルスと言えば、一昨季のJ1昇格プレーオフもさることながら、1993年のJリーグ開幕を前に行なわれた1992年第1回ナビスコカップの決勝戦が思い起こされる。プロチームとして初めて臨んだ大会で両チームは優勝をかけて対戦した。そんな伝統ある一戦が新シーズンの幕開けとして新しい国立競技場に5万2541人の観衆を集めて行なわれた。

 試合は清水エスパルスが前半終盤に北川航也が決めたゴールで1-0の勝利を挙げた。試合後清水の秋葉忠宏監督は「スキを見せずわれわれのサッカーで勝ち切ることができた」と胸を張った。試合の内容としてはほぼ互角ながら、ともに数少なかったチャンスをキッチリ決めたことが結果につながった。その意味で秋葉監督が快哉を叫ぶのも的外れではなく、東京ヴェルディの城福浩監督も「私の準備不足」とあくまで矢印を自分に向けて悔しさを滲ませた。

 東京Vはプレーオフに勝って昇格したチームであることから昨季のJ1は『最下位』からスタートしたようなもの。1年でのJ2再降格も懸念される中で、城福監督の情熱的かつ緻密なチームづくりで若い選手たちがこぞって成長し、6位という順位にたどり着いた。その主力となった選手たちのほとんどが期限付き移籍から完全移籍を果たし、今季はチーム力がさらにアップすることを期待されていた。

 迎えた開幕戦ではガンバ大阪から加入した福田湧矢が左のウイングバックに入った他は昨季からのメンバーがフィールドに立っている。立ち上がりから両チームが高いインテンシティでボールを奪い合う展開が続いたが、徐々に東京Vがボールを動かすようになり、主導権を得たかに見えた。しかし、一瞬のスキを突かれる格好で前半40分に失点。後半も効果的な攻撃ができず「守備はパーフェクトだった」と秋葉監督が称した清水のディフェンスを破ることはできなかった。

 ボールは回せても前へ運ぶことができず、攻撃が単調になった。清水の守備が激しかったとしてもそれを掻い潜っていく勇気とアイディアを欠いたと言わざるを得ない。決められたことを忠実にこなしているように映った。

「どっちのボールになるか分からない局面で勝って、初めて相手を置き去りにする攻撃ができますが、今日はそこでことごとく負けていた。特に中央の背骨のところで、五分以上の戦いをしないといけない。そこを頑張ってこそ、われわれのリスクを背負った布陣になる」と語った指揮官は「頑張らせられなかった僕の問題だと思います」と締めくくったが、もちろんできなかった選手の問題であり、それは選手たちもよくわかっているはずだ。ボランチの齋藤功佑は「最初に厳しさを突きつけられ、目を覚まさせてもらった。チームとしてもう1回、気を引き締めたい」と試合後に語った。

 昨季大きく成長したチームを、若い選手が多いとはいえ、さらに成長させるのが簡単ではないと感じさせる試合ではあった。ただし、そのポテンシャルにまで疑問符が付いたわけではない。キャプテンのMF森田晃樹を筆頭に、DF綱島悠斗、FW木村勇大など、さらに成長をして日本代表、海外クラブへの移籍を目指せる人材は多い。彼らもそれを意識してチームに残ったはずだ。

 城福監督はここからさらに成長曲線を右肩上がりにもっていくために修正を施していくはずだが、選手たちも開幕戦の敗戦を糧にして、今後の試合で昨季より成長したプレーを見せてもらいたい。

文◎国吉好弘


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