上写真=橋本健人は「質は自分の武器。オレはやります」と気持ちがいい(写真◎J.LEAGUE)
■2025年2月15日 J1第1節(観衆32,713人/@日産ス)
横浜FM 1-1 新潟
得点:(横)アンデルソン・ロペス
(新)太田修介
「そのパスを肯定してくれる」
あのアシストは「覚悟」の塊だった。
26分、左サイドで足元にボールが入ったとき、フリーだった。顔を上げたら、前線に太田修介が走っていた。自慢の左足をひと振り。ぴたりと届けて先制ゴールが生まれた。
「サイドバックが持ったときに背後のスペースが空いてくる、というリサーチがあって、逆サイドの選手も関わっていこう、と」
スカウティングとトレーニングの成果だ。その前の段階から、そしてそのあとも橋本の左足はうなりを上げていた。何度も強いボールを縦に、斜めに送り込み、脅威であり続けた。
「キモさん(樹森)がそこを怖がらずにやっていこう、とチームとして覚悟を決めて、多少リスクがあってもやっていこうとミーティングでも話し合ってきました」
昨年であれば出さなかったような一瞬でも、出す。出すか出さないか、ではなく、出すと決めている。もちろん、状況次第で判断をキャンセルすることはあるが、最初から二者択一で悩むのではないからどちらにするにしても迷いはない。迷って出さなければ、仲間は動いてくれなくなる。
「背後へのアクションがあれば使いなさい、というスタンスの監督で、仮に通らなかったとしても、そのパスを肯定してくれるような考え方。それに、出さないと前の選手がアクションしなくなると思ってるんで」
緻密な理論派が下す決断は、極めて確信的だ。それは、細やかな準備のアクションの結実でもある。
「まずは受ける場所。自分がちゃんと前にパスを出せる場所で受けることはすごく意識していました。そのために(左サイドハーフの奥村)仁や(左センターバックの)稲村(隼翔)と自分のやりやすいように調整して、まずは自分が気持ちよくプレーできるところでボールを受けるようにしました」
アシストのシーンがまさにその表れだ。左に開いて稲村から引き出し、中の宮本英治へ預けた。一つ持つ間に橋本は少し下がって自分がプレーできるスペースを確保してから受け直すと、誰も奪いに来なかった。これが「前に出せる場所」を作る工夫だ。この段階でもう、優位に立っていた。あとは蹴る技術の問題。「質で解決する」と断言した通り、何よりの自信がある。
でも、それでも勝てないのだ。PKを献上したドローを悔やんだ樹森監督の口からは、一方で「非常に満足」の評価も出たが、橋本は勝利への渇望を訴える。
「監督がやってくれと言ったことをできた時間帯が多かったからこそ、勝つに値するゲームだったと思っています。だから、これが勝ち点1になってしまったところが悔しい。勝ちたいし、勝てるところを見せていかなければ」
その左足が間違いなく新潟の武器であることを、改めて強く印象付けた開幕戦。この左サイドバックのアクションが「新潟史上最高」という約束の場所につながっていく。