練習場の敷地内で自ら野菜を栽培する「谷口農園」の「代表水やり役」として、注目が集まる谷口海斗。アルビレックス新潟のアタッカーという「本業」では、2月15日の開幕を控えている。今季から樹森大介監督を新指揮官に迎えて「新潟史上最高」を目指すチームにあって、昨季10ゴールの得点源は何を思うのか。

上写真=谷口海斗はJリーグの開幕イベントで注目ポイントに挙げたのが「粒粒辛苦 ゴール+谷口農園」(写真◎J.LEAGUE)

「具体的にフィードバックしてくれる」

 ホテルマンと二足のわらじのJ3時代からJ1までのし上がってきた「反骨系ストライカー」としてもインパクトのある男が、2月15日に挑むのが、横浜F・マリノスとのアウェーでの開幕戦。2023年、24年とJ1第1節では2年連続でゴールを決めていて、1勝1分けだ。そうなると、期待されるのが3年連続開幕弾である。

「そうですね。まずは試合に出るためにやらなければいけないけれど、そこは皆さんに言っていただいているので、開幕も目の前の1試合ということで、そこで得点を取れるようにしていきます」

 昨季はリーグ戦10ゴール、ルヴァンカップ3ゴール、天皇杯1ゴールの計14ゴールを奪った。上記の開幕戦弾は2・3月のJリーグ月間ベストゴールにも選ばれた。右サイドから浮き球のパスをダイレクトでたたいて20メートルほど先の逆サイドにぶち込むスーパーシュート。大胆不敵なフィニッシュこそ最大の魅力だ。そして、そんなシーンが増えそうな予感があるという。

「前にいこうというところは特に意識しているので、そこは増えそうだな、と」

 新潟は今季、樹森大介監督を新しい指揮官に迎えた。谷口も「やってきたところにプラスアルファという形で、大きく変えることではない」と説明して、「変化」というよりは「積み上げ」のイメージでチーム作りに加わってきた。そこで手にした実感が、得意の左から裏抜けするスプリントが生きてくる、というイメージである。昨年はいいタイミングでスペースへ走りながら、ボールが出てこなくてまた戻るという場面も多かったが、いまは出し手とのシンクロ率も高まっているという。

 それは、攻撃のタイミングを合わせる前の段階で、守備が整ってきたから。

「奪われた瞬間にそのまま相手を見てしまう選手が多くいる試合が、昨季の最後の方は特に多かった。でも、そこで足を止めないことを練習から求められているので、それを表現し続けられるようにトレーニングからやっていければなと思います」

 それが、ショートカウンター発動のスイッチ。ボールをつないで相手陣内でプレーするスタイルの中で、昨季も攻から守の瞬間に一斉に襲いかかって奪い返して「再攻撃」したときの破壊力は抜群だった。新監督の下で、その失われた意識を磨き上げてきた。そこが、新しい新潟の目に見える最初の効果になるだろう。

「これまではピッチで自由にやっていた部分があって、(樹森監督は)そこをより言葉にしてくれて分かりやすくやれてるかな。あとはピッチの中で自分たちがよりスムーズにうまくいく流れを作っていくだけ」

 自由と規律の針の触れ具合を少し調整した、という感覚だ。

「これまでは、監督からの指示だけではなくて、ピッチの中で自由に選手間で話してポジションを取ったり変えていったり、という部分もありました。今年は監督が立ち位置やボールの運び方を言葉にして、具体的にフィードバックしてくれるところがあるので、うまく使い分けながらやっています。そういう言葉として出てきた部分を、今度は選手たちが連動させていくだけです」

 谷口の背中を押す樹森監督の言葉は「仕掛けろ!」だ。

「アタッカー陣として、1対1なら仕掛けろ、ということは特に言われている。練習でも繰り返しやっているので、あとは試合で出せればなと」

「切り替えの部分や、前に、ゴールに向かっていくところは求められています。前にボールを入れてもらって自分が絡んでいって、最後にゴールという場面で顔を出せれば、勝利にもつなげられると思いますし、自分のプレーの良さも出していける」

 開幕戦3年連続ゴールと勝利のために。背番号7が新しい新潟の先頭に立つ。


This article is a sponsored article by
''.

No Notification