上写真=MVPに輝いたのは神戸の武藤嘉紀(写真◎J.LEAGUE)
ベストヤングプレーヤーは高井幸大、最優秀ゴールは宇佐美貴史が受賞
文句なしの受賞だろう。2024シーズンのJリーグの顔は、連覇を果たした神戸の武藤嘉紀に決まった。最優秀選手賞(MVP)に輝いた。
舞台に上がった武藤は思いのこもった受賞挨拶を行った。
「歴史と名誉ある賞をいただき、心より嬉しく思います。僕自身、一見、華やかな経歴には見えますが、多くのケガ、挫折、紆余曲折を経て今があると思っています。ヨーロッパでは1年間以上、ベンチにも入ることができず、家を出る時のドアが非常に重く、そして帰り道に泣きながらMrs.GREEN APPLEさんの『僕のこと』を大熱唱して、運転していたことを鮮明に覚えています。しかしそういった苦しい経験、逃げ出したくなるような経験が、僕を人としてもサッカー選手としても強くしてくれたんだと感じられます。
いままでで、僕自身1人で乗り越えられたことは何一つありません。僕を支えてくれた家族、家族なしでは今の僕はないと思っています。まずは両親、底抜けに明るく面白い父、そして気高く強くどんなときでも謙虚でいなさいと言ってくれた母。5人兄弟ですけど、一人ひとりに多くの愛情を注いでくれました。そんな二人の子どもに生まれたことを僕はすごく誇りに思っています。
妻と子どもたち、サッカーバカな僕に今まで付いてきてくれて本当にありがとうございます。単身赴任で月に1回、帰れるかどうかわからない僕ですけど、子どもの誰か一人でも熱があったり風邪になると、うつるわけにはいかないと言って帰ることをキャンセルしてしまったり、腰を痛めたらだめだと言って、抱っこや肩車もほとんど子どもたちにはしてあげられませんでした。授業参観、幼稚園の行事、何一つ見てあげることはできませんでしたけど、今こうやって、素晴らしい賞、Jリーグ連覇、天皇杯優勝を成し遂げられたことは、本当に家族の支えがあればこそだと思います。このMVPは家族に捧げたいと思っています。
最後に、来シーズンからもさらに成長できるように、地に足をつけて、慢心せず、日々努力し、これからも邁進していきたいと思います」
王者として臨んだ今シーズン、武藤は37試合に出場し、13ゴールを記録。文字通りチームをけん引した。神戸の右サイドで縦関係を組む酒井高徳が「あれほど守備をしてくれて、攻撃に転じる選手はそういない。日本でトップ」と今季の武藤の働きを称賛していたが、攻守両面で獅子奮迅の活躍を披露した。