上写真=西川周作(左)はファインセーブの連続でチームをもり立てた(写真◎J.LEAGUE)
■2024年8月31日 J1リーグ第29節(@国立/観衆48,887人)
町田 2-2 浦和
得点:(町)オ・セフン、エリキ
(浦)関根貴大、チアゴ・サンタナ
「ノブさんのために勝とう」
西川周作は、その拳で地面を殴るしかなかった。アディショナルタイムも8分のところで失点。2-2となる同点ゴールを浴びて、勝ち点2がこぼれ落ちた。
「悔しい。それが一番大きいです」
切り替えるのは早いから、試合直後とは違って平静さは取り戻している。だが、その言葉を口にしたときだけ表情が歪んだ。
3点目と思われた90+3分のゴールは直前にファウルがあって取り消されて、それでも1点はリードしたままだった。しかし、90+8分、GK谷晃生がロングキック、ミッチェル・デュークがヘッドで流し、拾った藤本一輝が折り返したところにエリキが飛び出してきて流し込まれた。
「ロングボールは蹴られるという覚悟はしていて、あそこで(藤本に)流れたボールに対して自分が行くべきだったかもしれない、いや、行くべきだったんじゃないかなと思ったり。自分に何ができたのかを考えることが、この失点を無駄にしない理由の一つになってきます。あのワンプレーで試合を終わらせることもできたわけで、そこは本当に自分の財産にして、次に向かって戦っていかなければいけない」
試合に至るまでの時間も簡単ではなかった。8月27日にペア・マティアス・ヘグモ監督との契約解除、マチェイ・スコルジャ監督の復帰、その間の池田伸康コーチの暫定監督就任が発表された。キャプテンとして、この試合に向かってクラブ全体で思いを揃えていく雰囲気づくりが必要だった。
「試合前の円陣でも、ノブさんのために勝とうと話をさせてもらいました。池田コーチの下で練習からの集中力やメリハリを大事にしてきて、今日はロッカールームでもベンチメンバーからも声がすごく出ていて、今季一番と言っていいぐらいのいい雰囲気でした」
37分に関根貴大が先制し、後半開始早々の49分に追いつかれ、その後も押し込まれ続けたが、西川が次々と見せるファインセーブがチーム全体の集中力を高め続けた。87分にはチアゴ・サンタナが勝ち越しゴール。
でも、どんなに止めて止めて止め続けても、最後の失点が心を曇らせる。
「(ゴールを守るのは)自分の仕事ではあるので、ここで勝ち切れなかったっていうのは自分の力不足だと思っています。シュートが何本来ようともしっかりと体に当ててセーブするのが自分の役割。チームが勝って初めて仕事をしたと思えますから、今日は本当に悔しい気持ちの方が大きいですね」
消化試合数が2試合少ないから、残りは11試合。スコルジャ監督とまた新しいチームを作って挑むことになる。
「マチェイさんと一緒にやっていたメンバーがかなり抜けて、また新しくやる選手も多い中ですけど、やったことがある選手もいるので、しっかりとまた理解しながら、次のガンバ戦までにいい姿を見せられるようにしたい」
9月14日のJ1第30節、アウェーでのガンバ大阪戦がまずは最初のお披露目になる。