上写真=3試合連続2ゴールをスコアした山田新とダメ押しゴールを決めた高井幸大(写真◎J.LEAGUE)
■2024年8月11日 J1第26節(観衆37,452人/@味スタ)
FC東京 0−3 川崎F
得点:(川)山田新2、高井幸大
闇雲に急がなかった川崎F
開始直後から相手ゴールに迫ったのはFC東京だ。右サイドを破り、クロスから仲川が、遠藤が、D・オリヴェイラがシュートを試みた。タイミングが合わず、シュートは枠をとらえなかったものの、試合の入りに成功したのはボールを持てば積極的に立てに動かすホームチームの方で、開始14分までは完全にFC東京ペースと言えた。
そんな状況を一変させたのが、対象的に闇雲に『急がない』川崎Fだった。15分、ボールを動かしながら大島がパスを送り、マルシーニョがボックス左で相手CBの土肥と正対。相手が飛び込みたくても飛び込めない持ち方でじっくりゴールへの道筋を見極め、フェイントで土肥のバランスを崩すとふわりと浮かせたクロスを供給。最後は山田が頭でネットを揺らした。
家長、大島、脇坂らがパス交換してポゼッションを高め、簡単にボールを奪われない川崎Fは安易に攻め急がない。緩急の使い分けでメリハリをしっかり効かせ、試合のペースを握り返した。
先制から5分後の20分には、今度は右からFC東京を攻め落とす。前線に上がった右サイドバックのファンウェルメスケルケン際がボールを持つと、ゴール前に視線を送る。FC東京のCB岡と土肥の間に山田がポジションを取ったことを確認するや、ピンポイントクロスを送り、ヘディングゴールによって2点目を奪った。
FC東京にしてみれば、1失点目もそうだったが、ボックス内に守備者が足りていなかったわけではない。危険なエリアにおいて相手に状況把握の時間を与え、ボールを上げさせてしまったことが痛かった。入れ替わられることを恐れたためかボールホルダーにタイトに当たれず、結果、つながせて、蹴らせてしまい、2つの失点を招いた。
後半、2点を追うFC東京は安斎に代えて荒木を投入。しかし、ゴール前にボールを入れても、走り込む選手とクロスの供給役のタイミングが合わず、なかなかゴールが見いだせない。この試合では、点と点を合わせるプレーを重ねたFC東京よりも時間と空間を生み出すプレーを繰り返した川崎Fに分があった。
72分には敵陣で得たFKから高井が決めて川崎Fがダメ押し。試合は結局そのまま3−0で川崎Fが、前回対戦(5節/3月30日)と同様のスコアで快勝。今季2度目の多摩川クラシコも、川崎Fの勝利に終わった。
取材◎佐藤景
▼出場メンバー
・FC東京◎GK野澤大志ブランドン、DF白井康介、土肥幹太(84分:森重真人)、岡哲平、徳元悠平、MF高宇洋、小泉慶(60分:原川力)、仲川輝人(69分:俵積田晃太)、FW安斎颯馬(46分:荒木遼太郎)、ディエゴ・オリヴェイラ(69分:小柏剛)、遠藤渓太
・川崎F◎GKチョン・ソンリョン、DFファンウェルメスケルケン際(73分:瀬川祐輔)、高井幸大、佐々木旭、三浦颯太、MF橘田健人、大島僚太(72分:瀬古樹)、家長昭博(84分:小林悠)、脇坂泰斗、マルシーニョ(57分:遠野大弥)、FW山田新(84分:山内日向汰)