上写真=組織立った新潟のアグレッシブなプレーが札幌を上回った(写真◎J.LEAGUE)
■2024年6月29日 J1第21節(観衆13,859人/@札幌ド)
札幌 0ー1 新潟
得点:(新)谷口海斗
札幌は残留に向けて重要だった一戦に敗れ、泥沼7連敗
札幌は、6連敗中。負のサイクルを断ち切りたい意思は先発の顔ぶれにも表れた。3−4−2−1の1トップに鈴木武蔵ではなく大森真吾を起用。連戦の疲労を考慮したとペトロヴィッチ(ミシャ)監督は説明したが、今季2度目の先発を果たしたFWに起爆剤となることが期待された。だが序盤は札幌の攻撃が形にならず、その大森にボールが入らない。一方で新潟は鋭く縦を突く点で意思統一ができており、組織立った守備から攻撃に転じ、ボールホルダーを次々に追い越して、札幌ゴールに迫った。
10分には奥村のパスを受けた松田が左から狙うもシュートは右ポストを直撃。11分には藤原のパスから谷口がボックス内でヘディングシュートを放ったが、GK菅野にセーブされた。それでも新潟の優位は明らかで、ポゼッションでも上回る。27分には後方から攻め上がった舞行龍ジェームズがその勢いのままミドルシュート。菅野の正面を突いたが、連動した攻めからシュートにつなげ、ゴールを予感させた。
20分過ぎから新潟はゲームのテンポをやや落とし、守備に転じると4−4−2のブロックを素早く組み上げて札幌にボールを持たせ始めた。行くべき時と構える時のメリハリを効かせてゲームをコントロールしたと言っていい。自然、札幌はポゼッションできるようになったが、新潟の監視は厳しく、ゴールに迫るまでには至らない。
38分、札幌は左シャドーでプレーしていた長谷川が鈴木と交代。筋肉系のトラブルで、急きょの交代となった。その直後の40分、出場停止の岡村大八に代わって3バックの中央を務める家泉が敵陣でボール奪取に成功。そのままゴール前まで進出し、左から展開された攻めのフィニッシャーとなってシュートを放つ。惜しくも枠の左に逸れたが、札幌にとってはこれが前半最大のチャンスだった。
0−0で迎えた後半、札幌はレンジの長いパスも交えつつ、攻めの糸口を探していく。立ち上がりから積極性を示し、立て続けにシュートも放った。しかしその精度が低く、新潟ゴールを脅かすには至らない。すると53分、鈴木の不用意なプレーが失点につながってしまう。
家泉がパスカットしたボールをダイレクトで前線へ送り、チャンスを創り出すまではよかった。鈴木がそのボールを引き取ると、一瞬、クロスを狙うもゴール前の準備が整っていないと判断。即座に右ワイドへのパスに切り替えた。
しかし新潟の左サイドバック、堀米が一気に距離を詰めた。堀米本人が「チャレンジだった」と振り返った鋭いボール奪取で、札幌はチャンスから一転、大ピンチに陥った。そのままボールを運ばれると、左サイドを走る谷口に展開を許す。最後はカットインから鮮やかなミドルシュートが決まった。
その後、札幌にはまだまだ時間は残されていたが、効果的な攻めを展開できなかった。70分には3枚替えを実施し、加入間もないDF大崎玲央も投入。チームの活性化を図ったものの、ゴールは最後まで遠いまま。ミスが失点につながった鈴木も存在感を示せず、試合終了の笛を聞いた。
前節、FC東京に0−1で敗れたあと、ペトロヴィッチ監督はホームで戦うこの新潟戦が残留に向けてポイントになると話していたが、4戦ノーゴールで、泥沼の7連敗。ケガ人が多いという問題はあるにせよ、この試合でもミスが散見し、消極的なプレーでチャンスを何度も逸した。苦境から脱することはできなかった。
一方の新潟は中2日の厳しい日程の中でも選手をうまく交代させながら運動量を落とさず、最後まで縦への意識を感じさせる戦いを披露。ゴールこそ谷口の1点のみだったが、勝利に値する戦いぶりで勝ち点3を積み上げ、6月を負けなしで締めくくってみせた。
▼出場メンバー
・札幌◎GK菅野孝憲、DF髙尾瑠(70分:田中克幸)、家泉怜依、中村桐耶(82分:岡田大知)、MF田中宏武(70分:原康介)、馬場晴也、駒井善成、菅大輝、小林祐希、長谷川竜也(38分:鈴木武蔵)、FW大森真吾(70分:大崎玲央)
・新潟◎GK阿部航斗、DF藤原奏哉、舞行龍ジェームズ、稲村隼翔、堀米悠斗(65分:トーマス・デン)、MF秋山裕紀、島田譲、松田詠太郎(65分:長谷川元希)、奥村仁(65分:小野裕二)、小見洋太、FW谷口海斗(89分:高木善朗)