6月1日の明治安田J1リーグ第17節で、アルビレックス新潟はアウェーで首位のFC町田ゼルビアを3-1で下した。負傷者が続出して苦境が続くチームに、堀米悠斗が復帰した意味は大きい。聡明なキャプテンは現状をどう見据えているのだろうか。

上写真=堀米悠斗が10試合ぶりの復帰。勝利の瞬間をピッチで迎えた(写真◎J.LEAGUE)

■2024年6月1日 J1リーグ第17節(@Gスタ/観衆10,411人)
町田 1-3 新潟
得点:(町)藤尾翔太
   (新)小見洋太、藤原奏哉、オウンゴール

結論は「変わらず」

 キャプテンが帰ってきた。アルビレックス新潟の堀米悠斗が79分、早川史哉に代わって投入された。3-1でリードしていた試合をいかにコントロールしてクローズさせるか。そのミッションを体現した。

「まだまだですよ」

 自らのプレーには苦笑いである。負傷でピッチを離れてから、長い調整の時間を経て、10試合ぶりのピッチになった。慎重さも大事にした。

「やっぱり行ききれないシーンはあったし、1本目からぐっとスピードを上げなければいけないシーンで出ていけなかったり。準備の部分で足が止まっているシーンはまだまだあって。そこはゲーム勘の部分もあるんですけど、とにかくいまは自分がもう離脱しないということが、チームにいい影響を与えると思うんです。出場時間もリキさん(松橋力蔵監督)も慎重に気を遣ってくれています」

 この日を迎えるまで、堀米の他にも負傷者が続出し、なかなか結果が出ずに4勝4分け8敗。その現状に「負傷離脱中のキャプテン」としてどう向き合うかは簡単なことではなかった。

「変わらず、ですね」

 というのが、悩んだ末の結論である。そこに至るまでにはさまざまな思いが去来した。

「まずは自分と向き合わなければいけないですし、チームに対してなかなか貢献できていない分、チームに言いにくいことを言うのにも説得力がなくなってしまう。だから、まずはケガを早く治すことが先決でした」

 チームをまとめる立場の人ならではの葛藤である。

 ついに復帰を果たしたこの試合でも、試合前には悩みがあったと告白する。

「今日の試合前の円陣では、僕自身にも迷いがあったんです」

 首位を走るFC町田ゼルビアに対して、松橋監督の指示の下でどういう意志と戦略で向かっていくのか。チームを離れていた時間が長かった分、キャプテンとしての言葉にどんな決断を込めるべきか、考え抜いた。

「自分たちのスタイルを貫くべきなのか、それともやっぱりはめてくる相手に対してひっくり返したり、ショートカウンターを受けないためのビルドアップに切り替えるべきか、という迷いが僕自身にもあったんです。そこをまず統一しないといけないんだけど、オレで迷うということはみんな迷っているんだろうという思いがあった。だからまずは、ビルドアップで練習してきた形があるので、しっかりと技術やスタイルに自信を持ってやろう、と伝えました」

 決意を持ってチームに語りかけたものの、「それでもなかなか前進が難しいゲームでした」と町田の緻密な守備に敬意を評した。

「でも、耐えるところを耐えて、コミちゃん(小見洋太)が1点取ったし、徐々に後半は相手も運動量が落ちてきたので、落ち着いてゲームを進められたんじゃないかな」


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