上写真=84分に島田譲と交代し、ピッチを退いた千葉和彦(写真◎J.LEAGUE)
39歳目前にしてなお、どん欲
新潟、福岡ともにアウェーのYBCルヴァンカップ1stラウンド3回戦から中2日。デンカビッグスワンスタジアムに乗り込み、アウェー連戦となる福岡はミドルブロックを組んで、ある程度、新潟にボールを持たせる構えを取った。
そんな戦いの構図もあって、序盤からボールを走らせ、福岡を押し込んでいく新潟。千葉も積極的にビルドアップに関わり、攻める糸口を探る。27分には谷口海斗のシュート性の左クロスを相手GK村上昌謙がパンチング。ファーに流れたボールにフリーで走り込んだ小見洋太が右足を伸ばす。押し込めなかったが、主導権を握る新潟のゴールの匂いが強まっていく。
しかし新潟は37分、福岡のボランチ、前寛之に強烈な直接FKをたたき込まれ、先制を許す。展開としては千葉、トーマス・デンのセンターバック2人も相手陣内に入って攻める新潟の時間がしばらく続いていただけに、数少ないピンチでの手痛い失点だった。
「前半がポイントだったと思います。ビルドアップしながら、最後、『ここからスピードを上げよう』とギアチェンジするところで、もっと大胆さがあってよかった。ボールが前に入っていたし、立ち位置もとても良かったけれど、結果的に攻めが丁寧になりすぎました。“たられば”だけれど、もっとペナルティエリア手前から狙ってよかったかもしれない」
チームのスタイルとして主導権を握って戦うことを目指し、それを実践できていただけに先にゴールを奪い、相手が出てくるところで追加点を奪いたい。そんな思惑とは逆の展開となる中、千葉は悔やむことより、先を見据えながらプレーし続けた。
「決めるべきところで決めることは大事だけれど、より大切なのは、どうやって次の決定機を作り出すか。下を向いていても、仕方ないですから」
1点を追う84分、千葉はボランチの島田譲と交代してベンチに退いた。島田は、そのままセンターバックの左に入る。「練習でもやっていなかったが、前にボールを供給することを意識」(島田)したチームはさらに反撃を強めたかったが、交代直後に追加点を奪われ、DF早川史哉のゴールで1点差に迫ったものの及ばず、1-2での敗戦となった。
千葉は、試合後も「次」に意識を向けていた。
「勝つために、自分に何ができるのか。自分が持っている何を、どう還元できるのか。もっと自分自身に求めたい。今は勝ちをもぎ取るしかないです。待っているだけでは勝てないので。負けた今日くらいは、何がだめだったのか反省しますが、考えすぎはよくない。次の試合で勝ちをもぎ取ることに徹します」
今季、出場した5試合のうち、3試合で途中交代となっている。
「何か足りないから代えられている。そんな自分自身に腹が立ちます。90分出られない悔しさを、次に試合に出るとき、思い切りぶつけます」
39歳を目前にして、なおも成長することにどん欲。それというのも、新潟が勝利をもぎ取るために他ならない。
取材◎大中祐二