名古屋グランパスFWパトリックが5月6日の明治安田生命J1リーグ第12節・サンフレッチェ広島戦で先制ゴール。名古屋加入後のリーグ戦初ゴールを決めた後も、終盤に交代で退くまで前線で精力的な動きを見せ、勝利に貢献した。うれしいはずのゴール後に喜ばなかったのは、古巣・広島のファン・サポーターへの思いがあったからだという。

上写真=先制点を決めたパトリックが祈りを捧げる。名古屋でのリーグ戦初ゴールが先制点となった(写真◎J.LEAGUE)

■2024年5月6日 J1リーグ第12節(@Eピース:観衆25,193人)
広島 2-3 名古屋
 得点:(広)越道草太、中野就斗
    (名)パトリック、稲垣祥、オウンゴール

「とにかくチームに貢献したいという思いで」

 開始直後の先制パンチだった。2分、名古屋は広島の最終ラインにプレッシャーをかけると、DF佐々木翔からGK大迫敬介のバックパスが短くなったのを見逃さず、パトリックが猛然とダッシュ。先に処理しようとした大迫からボールを奪い、そのまま無人のゴールに蹴り込んだ。

 今季加入したブラジル人ストライカーにとって、名古屋でのリーグ戦初ゴール。だが喜ぶことはなく、むしろ祝福に駆け寄るチームメイトをなだめた。さらに広島のファン・サポーターが集まるゴール裏スタンドに向けて、両手を合わせて謝る仕草を見せてから、ピッチにひざまずいて祈りを捧げた。

 2017年途中から2019年途中までプレーした古巣・広島への「リスペクトで祝わなかった」という。「ここで2年半プレーして、広島のファン・サポーターの方々の目の前で多くのゴールを決めることもできた」と思い出を語り、「(名古屋での)Jリーグ初ゴールだったので、すごくうれしかったですし、祝いたい気持ちは、やまやまでしたが、リスペクトの思いで祝うのをやめた」と明かした。
 
 前線からのプレッシャーを得点につなげることは、0-2で敗れた5月3日の第11節・ヴィッセル神戸戦のときから考えていたとも振り返った。「神戸戦のときから、こうすればゴールを決められると思っていた。神戸戦では相手のディフェンス陣とゴールキーパーにボールを持たせ過ぎて、プレッシャーをかけていなかった」という反省を生かし、MF森島司とMF稲垣祥にも「そう話してプレッシャーをかけて、得点することができた」と喜んだ。

 その後も81分に交代で退くまで、カウンターからの突破で広島の脅威となった。FWに求められる結果を残したとはいえ、「ゴールだけに焦点を当てて試合に臨んだのではない」と説明し、「そうすることで自然にゴールは生まれると思っているし、今日それを見せることができた」と胸を張った。

取材◎石倉利英 写真◎J.LEAGUE


This article is a sponsored article by
''.