5月6日の明治安田生命J1リーグ第12節で、サンフレッチェ広島と名古屋グランパスが対戦した。開始直後に名古屋が先制、さらに追加点を奪って優勢に進めたが、広島も後半にかけて2点を奪い返して追い付き、打ち合いの展開に。その後は両チームにチャンスが生まれたが、終盤に勝ち越し点を奪った名古屋が競り勝ち、連敗を2で止めるとともに、昨季から続いていた広島の17試合連続無敗も止めた。

上写真=稲垣(左)、森島など元広島の選手が活躍した名古屋が、今季J1で唯一の無敗だった広島を下した(写真◎J.LEAGUE)

■2024年5月6日 J1リーグ第12節(@Eピース:観衆25,193人)
広島 2-3 名古屋
 得点:(広)越道草太、中野就斗
    (名)パトリック、稲垣祥、オウンゴール

「大きな自信になる」

 広島地方は朝から小雨が降る時間帯もあったが、キックオフまでには上がり、大型連休中の暑さは感じないコンディションに。気温は公式記録で22・4度ながら、後半は涼しさも感じさせる天候の中で試合が進んだ。

 開始直後の2分、思わぬ形で試合が動く。広島はバックパスを受けたGK大迫がDF佐々木につないだが、名古屋はMF森島がプレッシャーをかけ、佐々木が大迫に戻す状況を作り出す。これがわずかに短くなり、大迫は先に追い付いて足で処理しようとしたものの、寄せていたFWパトリックが奪って無人のゴールに蹴り込んだ。

 さらに名古屋は18分、広島DF塩谷の前線を狙ったパスをDF河面がヘッドではね返すと、ボールはエリア外中央のパトリックの元へ。ショートカウンターの形となり、最後は森島のクロスをMF稲垣がヘッドで決め、リードを2点に広げた。

 今季初めて2点のビハインドを負った広島だが、すぐさま23分に1点を返す。右CKがはね返されたボールをエリア外中央で拾ったMF越道が、Jリーグ初ゴールとなる鮮やかなミドルシュートをゴール左下スミに突き刺した。

 さらに広島は29分、ゴール前中央でMF満田のパスが相手に当たって浮いたところを、MF東がヘッドで前方のMF加藤へ。加藤のシュートは名古屋GKランゲラックに防がれ、こぼれ球を東が蹴り込んでネットを揺らしたが、ここで副審の旗が上がった。VARのチェックは約4分間に及んだが、東のパスを受けた加藤の足がわずかにオフサイドポジションに出ており、判定どおりで同点とはならず。

 だが、その後も勢いに乗って攻め込んだ広島は、前半は1-2で終えたものの、後半立ち上がりの48分に同点とする。後半開始から交代出場したMFマルコス・ジュニオールが左サイドでパスを受けてセンタリングを送ると、逆サイドから入ってきたMF中野が、相手選手の前に入って左足でコントロール。少し浮いたボールを、落とさず左足ボレーで振り抜くテクニカルなシュートでゴール左スミに決めた。

 たたみかける広島は53分、左からのセンタリングをFWピエロス・ソティリウがヘッドで合わせるが、わずかに右へ。55分にはCK後の混戦からピエロスがヒールキックで狙ったが、カバーに入っていた名古屋の選手に防がれ、さらにマルコス・ジュニオールが右足で狙ったシュートも、名古屋GKランゲラックに止められた。

 終盤はオープンな展開となり、両チームがカウンターでゴールに迫るものの、スコアは動かなかった。だが84分、名古屋は縦パスに反応してエリア内に走り込んだ永井がシュート。これは広島DF塩谷にブロックされたが、クリアしようとした佐々木、永井、FWキャスパー・ユンカーが交錯した後にボールが浮いて広島のゴールに飛び、大迫の頭上を越えてゴールイン。公式記録ではオウンゴールとなって勝ち越しに成功する。

 終盤に勝ち越した名古屋は、その後の反撃をしのいで勝利。長谷川健太監督は「それぞれが力を出してくれて、難しい展開でしたが、こういう形で勝ち切れたのはチームとして大きな自信になる」と喜んでいた。

取材◎石倉利英 写真◎J.LEAGUE

▼出場メンバー
・広島: GK大迫敬介、DF塩谷司、荒木隼人、佐々木翔、MF中野就斗(76分:新井直人)、松本泰志(HT:マルコス・ジュニオール)、満田誠、東俊希、加藤陸次樹、越道草太(67分:志知孝明)、FWピエロス・ソティリウ(76分:小原基樹)

・名古屋:GKランゲラック、DF河面旺成、ハ・チャンレ、三國ケネディエブス、MF内田宅哉(75分:中山克広)、椎橋慧也、稲垣祥、森島司、野上結貴(55分:和泉竜司)、FWパトリック(81分:キャスパー・ユンカー)、倍井謙(55分:永井謙佑)


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