川崎フロンターレが6試合ぶりの勝利を収めた。5月3日の明治安田J1リーグ第11節で浦和レッズに3-1、実に6試合ぶりの勝利でトンネルを抜けたが、まだまだ、と戒めるのが家長昭博だ。

上写真=家長昭博は今季初ゴールをアシストしてくれた山田新の背中に乗って感謝(写真◎J.LEAGUE)

■2024年5月3日 J1リーグ第11節(@U等々力/観衆23,457人)
川崎F 3-1 浦和
得点:(川)脇坂泰斗、佐々木旭、家長昭博
   (浦)大久保智明

「下がっているときに前に進もうとできるか」

「いまも苦しいです」

 6試合ぶりの勝利に沸くミックスゾーン。ようやくトンネルを抜け出すことのできた現状に至るまでに、家長昭博は自身がどうコミットしたかを聞かれて、こう明かしている。

「この状況が苦しくないって言ってもらえるならば、ありがとうございます、という感じです。これでいいなら」

 J1はまれにみる混戦。ここまでの川崎フロンターレはわずか2勝で、16位に沈んではいるが、この3勝目が大きなきっかけになって上位に迫っていけるのではないか、という見立ては、選手の側からすれば楽観的に過ぎると見えたのかもしれない。

 浦和レッズを迎えた一戦で、18分に脇坂泰斗が先制しながら、35分に大久保智明に追いつかれた。しかし、49分には佐々木旭の今季初ゴールで勝ち越し、そして、90+3分には家長自身にも初ゴールが飛び出してダメ押しした。

 前半は右サイドに大きく開いて幅を取っていた。「監督の指示です。張っておくようにと」。後半に入ると、今度はいつものように流動的にポジションを変えた。

 追いつこうと前に出てくる浦和のギャップを利用してボールを引き出し、もう1点を奪いに出る姿勢が効いた。55分には右からのクロスでマルシーニョの惜しいシュートを導き、83分には中央からカウンターを仕掛け、山内日向汰のヒールパスを左に回って受け、左足で狙った。

 その攻撃のリズムが、最後のゴールに結びついた。橘田健人が左前に送り、走り込んだ山田新が相手を振り切ってセンタリング、逆サイドでフリーになっていた家長が右足でしっかりと決めきった。

 だからといって、この1勝ですべてが晴れ渡るわけではない、と戒める。

「もう変わらずに何ができて何ができてないかというのは個人個人が考えるべきだと思います。3歩、いきなり進めることはありえないんで。1歩進んで2歩下がるだろうし、また1歩進んでも3歩下がるだろうし、その繰り返しだと思う。それを受け入れて、下がっているときに前に進もうとできるかどうかだと思うし。短期的な話ではないですから」

 先を見据える深い洞察である。


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