柏戦は「こだわる気持ちの強い方が勝つ」
−−今季、好調の理由として連敗しないことを挙げていました。実際、6節広島戦のあとの川崎F戦、8節神戸戦のあとのFC東京戦にしっかり勝ちましたが、初めてのJ1にも関わらず、なぜチームは連敗せずにしっかり勝ちきれるのでしょう。
仙頭 一つには監督やコーチ陣の働きかけがあります。やるのは選手ですし、選手だけでもそういう雰囲気作りはしなければいけないですが、練習から引き締まっているというか、チーム全体がやらないといけないと高いモチベーションで臨めています。勝負に対するこだわりは先程も言ったように習慣として身に付いている中で、選手とスタッフが一丸となって臨んでいけていることは大きいと思います。
−−10節の磐田戦に敗れ、次の柏戦(5月3日/Gスタ)は連敗阻止がかかります。上位に留まるうえでも重要な試合で、仙頭選手にとっては昨シーズン所属した古巣でもあります。
仙頭 僕自身、他の試合も色々と見る方なんですけど、今季のレイソルは去年求められたことをより追求してやっている印象があります。球際の部分はより強調されている感じですし、チームとして狙いとしてるものが、より明確になっているのかなと。それにプラスして、よりボールを持つ意識が高まっていて、そういう意味で昨年からプラスアルファしていると感じます。今季は調子がいいと言っていいと思いますけど、僕自身はやっぱり絶対に負けたくない。去年、僕自身はスタメンではなかったし、キャリアの中でもいい時期を過ごしたとは言えません。やっぱり反骨心というか、見返したい思いがあります。だから絶対に負けたくないし、勝って、ゼルビアの選手として本気で喜びたいと思っています。
−−柏でプレーした昨季は、横浜FMから途中で京都に移った2020年シーズンに続き、ノーゴールに終わったシーズンでした。
仙頭 自分のプロキャリアの中でも悔しい思いをしたシーズンでした。「何で俺を使わなかったんだ!」くらいの存在感をピッチで出したい。
それくらいの気持ちで臨まないと勝てないと思いますし、そういう悔しい気持ちを原動力に変えて前に進んでいかないとサッカー選手としてダメだと思うので、本当にもう、負けたくないです。
−−勝利のポイントを挙げるとすると?
仙頭 まずは戦うっていうところがベースになると思います。柏時代、井原(正巳)監督はそういうところを強調されていましたし、FC町田ゼルビアもそこを常に言っている以上、絶対に負けてはいけないと思っています。球際の争いで負けないのが大前提です。相手は当然、勝って差を縮めるつもりでしょう、プライドとプライドがぶつかり合う試合にもなると思う。勝利にこだわる、その気持ちが強い方が勝つ試合になると思っています。
−−ダイレクトにゴールを目指し、勝負に徹するゆえに激しい町田のサッカーについて批判の声もあります。その声について仙頭選手はどう感じていますか。
仙頭 もちろんそういう意見や声は、目にも耳にも入ってきますが、僕たちが目指しているのは勝利であって、狙っているのは優勝やACL圏内に入ることです。そこから逆算したときに、勝利に近いサッカーを徹底しているのが、ゼルビアだと思います。ポゼッションサッカーだったり、カウンター主体のサッカーだったり、色々なサッカーがあって、その中でプロとしてやっている以上、勝つことが一番大事だと思っています。ファン・サポーターの方も勝利以上に喜びを感じられることってなかなかないと思います。そこはブレずにやっていこうというのは監督も常々言っていること。チームの全員が同じベクトルで進んでいるので、周りの声はあっても、ゼルビアはゼルビアのサッカーを貫き通して、結果で示していくだけです。
−−柏もかつて昇格1年目でJ1優勝を成し遂げました。ですがそれは初のJ1ではありませんでした。町田は今まさに歴史を創っている最中ですが、さらに大きな歴史を築きたいという思いは選手の中にはっきりあるのでしょうか。
仙頭 それはあると思います。移籍してきてからもゼルビアが色々と新しくなっていく過程を見ていますし、さらに目指していく中で自分もその一員になりたいと強く思いました。JFL時代、J3時代から所属している選手もいて、そういう方たちの話を聞いていても、やっぱり熱くなるものを感じます。そういうクラブの歴史の中でも、J1初年度は一度きりで、そこで何ができるのか、何が残せるのか。そういう思いを常に持ってプレーしたいと思います。
−−何を残しますか。
仙頭 チャレンジャー精神を持ちつつも、本気で僕たちは上を狙っています。それは日々、チームで感じているところ。しっかりと歴史に刻まれるシーズンにしたいと思っています。
取材・構成◎佐藤景(フリーライター)