上写真=後半に途中出場し、2ゴールをあげた遠藤渓太(写真◎J.LEAGUE)
このダービーを切っ掛けに
遠藤渓太は今季、ウニオン・ベルリン(ドイツ)から期限付きで加入した。そして2日前の11日に完全移籍することがFC東京から発表された。つまり『完全に』FC東京の一員となって迎えた試合で、大きな働きを見せたのだった。
2点を先行され、1人退場者を出す苦しい展開の中、俵積田晃太に代わって61分に登場すると、早速、反撃の狼煙を上げる。ピッチに入ってから7分後だった。
東京VのCB山越康平から左サイドの山見大登へ送られたパスをFC東京の右サイドバック、白井康介がカット。その白井による右からのクロスに合わせて走り込むと、遠藤は見事にボールをとらえてネットを揺らした。
さらに、である。敗色濃厚だったアディショナルタイムにも同点ゴールを叩き込む。90+4分。GK波多野豪のロングフィードを前線に上がっていたエンリケ・トレヴィザンが競る。そのこぼれ球を仲川輝人が拾い、ボックスの外にいた遠藤にボールが渡った。
遠藤はボールを左足に持ち変えて東京V守備陣の間合いを外すと、素早く左足を振り抜き、ミドルシュートを放った。土壇場でチームの2点目をスコアし、勝ち点1を手繰り寄せたのだ。
「交代で入った選手で流れ変えてやろうって出る前から話していましたし、相手にスプリントで勝ち、勝つっていうことを意識してゴール前に入っていきました」
ベンチスタートだった遠藤は強い思いを持ってピッチに入っていた。そして、その思いは結実した。
「今はチャンスだと思っていて。タロウだったり(荒木遼太郎)、(松木)玖生だったりが活躍する中で、あいつら頼みだったんだって思われたくなかったし。まだまだ他の選手に比べたら結果はついてきていないけど、ダービーが一つ良い切っ掛けになったらと」
AFC Uー23アジアカップに参加する代表チームに、荒木、松木、野澤大志ブランドンが選出された。カップ戦も合わせ、最大で5試合は不在となる。その間にチームの成績が下降すれば、それは『留守を守る』選手たちのせいと見られる。遠藤は自らの力を示して、そうはさせなかった。
「本当に認められるように頑張りたいし、一流の選手はパフォーマンスを継続できると思うんで、この一発で終わるんじゃなくて、これを継続できるように日々トレーニングしてきたい」
遠藤自身が、前回がいつだったか思い出せないくらい久々のゴールだったと振り返っていた。このダービーを上昇のきっかけにできるか。
FC東京に、遠藤渓太ありーー。
多くの人にそう感じさせる試合を、これからも重ねていくと誓った。