上写真=脇坂泰斗は町田のプレッシャーをかいくぐりながらチャンスを作ったが…(写真◎J.LEAGUE)
■2024年4月7日 J1リーグ第7節(@U等々力/観衆22,008人)
川崎F 0-1 町田
得点:(町)藤尾翔太
「なんて言うのか、先入観のような」
川崎フロンターレの、特に前半の劣勢は明らかだった。鬼木達監督も「にらまれただけで相手にボールを渡してしまった鹿島戦はワーストだったが、それに近い」という表現を使ったほどだ。ボールは足につかず、パスはずれて、判断が遅れ、町田のプレスの格好の餌食になる。
キャプテンの脇坂泰斗はとても静かに、何がおかしかったのかをじっくり反芻した。
「そんなに圧力を感じなくていいときにパスをリターンしてしまったり、そういうところはもっともっとできると思います」
そこが気がかりだ。鬼木監督も「ロングボールを警戒して間延びして、でも実際には手前でつながれていた」と分析した。町田の戦術に強い意識を置いていたことは、脇坂の次の言葉でも分かる。
「なんて言うのか、先入観のような、ロングボールを蹴ってくるというものが先行してラインが低くなってしまったり、きっと蹴ってくるだろうと感じてボールへのプレッシャーが甘くなったり、その両方があったと思います」
後半開始からは瀬古樹と遠野大弥が入った。鬼木監督からの「相手を気にしないで普通にやりなさい」という指示もあって、町田への過度な意識は払拭された。それでリカバーできはしたが、町田のGK谷晃生が71分に退場になって一人多くなっても、最後までゴールはこじ開けられなかった。
「やりながら修正できないのがいまのチームの力のなさというか、自分たちで試合中に改善できないところを変えられるようにしていかなきゃいけないと思います」
脇坂は悩ましい。
キャプテンに解決策が見えていないわけではない。「もちろん、簡単にできることではない」と、その道の険しさは十分理解しているが、だからこそやらなければならない。
「サッカーをやる上での基準は、もっとチームとして持たないといけないと思います。配置をある程度は無視してできればいいけれど、そこでエラーが出てしまうのであれば決めるべきだと思います。それを今日の試合で感じました」
自由とひらめきを、強度の中に巧みに散りばめて相手を翻弄するのがこのチームの魅力だ。しかしこの敗戦によって、いまは一度基本に立ち返るときなのだと素直に受け止める。
「目的のところから逆算して、もっと選手が迷わずやれるようにもっともっとチームで合わせていくことは、やっぱり必要になってくると思います」
目的はゴールであり、そのためにどんなルートでボールを前進させるのか、そしてどんな方法で相手の守備ラインを最後にブレイクするのかを問いただす必要があるということだ。
7試合を終えて2勝1分け4敗の15位。シーズンはおよそ5分の1を消化する。整理するなら早いほうがいい。次のセレッソ大阪戦では、整った姿を見せなければならない。