川崎フロンターレがFC東京を迎えた「多摩川クラシコ」。3月30日のこの一戦では、山内日向汰と山田新が交代で入ったわずか1分後に、2人で追加点を決めてみせた。ともに川崎Fのアカデミー出身で、桐蔭横浜大でもプレーした仲。後輩の山内がお膳立てして先輩の山田が決める、思い入れの深いゴールになった。

上写真=山内日向汰(右)がJ1デビュー戦で山田新(中)のゴールをアシスト!(写真◎J.LEAGUE)

■2024年3月30日 J1リーグ第5節(@U等々力/観衆22,543人)
川崎F 3-0 FC東京
得点:(川)脇坂泰斗、山田新、橘田健人

「頑張る姿を見ていた」

「(先輩の山田新のゴールをアシストして)なんかちょっとうれしいですけど、いろいろと馬鹿にされるので、あまりコメントはしないようにしないと」

 後輩の山内日向汰がこう笑えば、先輩の山田新も言い返す。

「すぐ感情を表に出すやつだから、またかと」

 82分に2人一緒にピッチに入った1分後、山内が左から華麗な切り返しで縦に抜け出して、ニアへ。突っ込んできた山田が押し込んで、リードを2点に広げてみせた。山内はJ1デビューでアシストという結果に大喜び。ベンチの選手たちが駆け寄ってきてもみくちゃにされて、感極まって涙を拭った。

「デビュー戦としてもそうですけど、一選手として自分ができることをやろうっていうことで、 うまく結果を残せてよかったかなと思います」

 そんな後輩を、山田もからかうばかりではない。

「長いこと一緒にやってきて、僕が1年早く入りましたけど、彼が高校からも大学でも頑張り続けている姿は近くで見ていました。結果的には自分のゴールですけど、感慨深いものがありました」

 あの切り返しの瞬間、山内は観察と感覚の両方でぶっちぎったという。

「自分が得意なのはカットインなんですけど、両方できるので、もっと出せていければなと思います。ギリギリまでシュートも打てるし切り返しもできるという状況を作れたのは、感覚的な部分もありますし、相手を見ている部分もあります」

 そのボールが自分に届いて、山田は感謝した。

「声をかけなくても、しゃべらなくても分かる部分はあって、ゴールシーンも自分のことを見てくれてましたし。そこはいい関係が築けていると思っています」

 鬼木達監督もその活躍に目を細めた。

「日向汰に関しては、 今日だけではなくてトレーニングマッチや練習の中でアピールを続けてきた結果だと思います。本当にいつチャンスが訪れるかわからない中でも、常にやり続けていた」

 その上で、注文も忘れない。

「それでも厳しい目で見れば、まだまだやらなきゃいけないこともあります。いい部分と高めていきたい部分とを要求していきたい」

 山内も望むところだ。

「レベルはすごい高いですし、こういう環境に身を置けていることは自分にとってすごく意味があるものだと思います。そこに本当の意味をつけられるように、また練習を頑張りたい」

 先輩のゴールをアシストして勝利に貢献した自負と、目の前にある競争の厳しさと。山内にとってJ1デビューは、その両方を実感する貴重な時間になっただろう。


This article is a sponsored article by
''.