上写真=浦和は89分、アレクサンダー・ショルツがPKを決めて1-1に追いついた(写真◎J.LEAGUE)
■2024年3月3日 J1リーグ第2節(@埼玉ス/観衆50,863人)
浦和 1-1 東京V
得点:(浦)アレクサンダー・ショルツ
(東)木村勇大
「89分」に再び…
静かな展開を破ったのは、セットプレーだった。42分、東京Vの見木友哉が左CKを送るとファーに流れ、山田楓喜が拾って後ろに預けて、深澤大輝が逆サイドへクロス、山越康平がヘッドで折り返すと、浦和の酒井宏樹の頭をかすめた先で、振り向きざまに木村勇大が右足のボレーでゴール右に送り込んだ。アウェーチームが先制だ。
ただ、このほかはそれほど大きな動きのない前半だった。浦和が優勢ではあったものの、21分にカウンター気味に松尾佑介が抜け出して狙ったシュート1本だけ。東京Vも前線の染野唯月と木村にボールを送り込んだが、2人が孤立する形でなかなかそこから先に進めない。
後半開始から浦和は小泉佳穂と関根貴大のポジションを入れ替えたあと、61分には3枚替え、興梠慎三、岩尾憲、大畑歩夢を投入し、渡邊凌磨を右のウイングに置いて逆襲に出る。73分に中島翔哉、82分には髙橋利樹も送り込んだ。それでもなかなか攻撃が有効化しない。
東京Vにとっては、1週間前の悪夢を繰り返すわけにはいかなかった。横浜F・マリノスとの開幕戦では、1-0でリードしながら89分にPKで同点にされ、90+3分に逆転されてそのまま涙をのんだ。この試合でも4人を入れ替えて守備の強度を高めた。しかし…。
浦和は87分、中島の左からのクロスのこぼれ球に大畑がペナルティーエリア内で突っ込んだところで、相手に蹴られてPKを獲得。89分にアレクサンダー・ショルツがゴール左に蹴り込んで、土壇場で同点に追いついた。
ただ、この日の東京Vはここで踏ん張った。なんとか逆転は許さずにこのままゴールを死守して、1-1でフィニッシュ。J1で16年ぶりの勝ち点を手に入れた。
「アウェーでの勝ち点1なので悲観することはない」とはキャプテンの森田晃樹。反撃の糸口をつかめないまま逆転された1週間前とは違って、自分たちでコントロールする時間も多かった90分で得た1ポイントに大きな価値を見出していた。
それは浦和も同じだった。西川周作は「去年は開幕から2試合で勝ち点ゼロだったので、この勝ち点1は前向きにとらえています」、渡邊凌磨も「もったいなかったですけど、やっていることは間違っていない」と、ポジティブな印象を口にした。