昨季のJ1王者、ヴィッセル神戸が新シーズン目指すのは言うまでもなく連覇だ。天皇杯王者・川崎フロンターレと『FUJIFILM SUPER CUP』に臨み、0−1で惜敗したが、酒井高徳は収穫と課題をしっかり把握していた。1週間後のJ1開幕戦(24日・磐田戦)に向けて良い準備試合になったようだ。

上写真=右サイドバックで出場した神戸の酒井高徳(写真◎J.LEAGUE)

意識はあくまでチャレンジャー

 まず前半。酒井は内容面で相手を上回った手応えを得たという。

「(相手が)苦しくなって蹴っているイメージもありましたが、ほとんど回収もできていたし、僕は前半はもう完全にこっち(のペース)だなって思ってやっていた。ただ結果論で言えば、前半のところでチャンスになりかけるところと、チャンスなところの質ってのがちょっと今ひとつだった」

 試合の入りからアグレッシブさを示すことはできた。シーズン最初の試合ということもあり、プレーの精度はまだまだ物足りなさもあったが、それは十分の修正できる部分。試合を振り返る中で酒井がポイントを指摘した。

「ゴールに向かう迫力とかスピード感とか、いく過程のところの選手同士の共通理解と精度はもうちょっと思い切ってやれるのかなと思いました。そこは少し練習から意識できると思う。あとは新しく選手が入ってきたところで、まだちょっと(神戸の)サッカーに、理解はしてるけど、表現がしにくいところがあったかなと。スピード感が出なかった後半というのは、どうしても新しい選手が入ってきたところで、つなぐ意識が強すぎたりとか、もっと五分五分でもいいからゴールに向かっていくっていうイメージを継続してできなかった。それをやっぱり僕らが伝えられなかったんで。もっとシンプルに縦につけていいし、もっと(前に)出てもいいし、1個目でもっと(ボールを)つけないといけないし、出ていく迫力もそうだし、そういうところはやっぱりこの1週間で監督も含めてやると思うので。自分としても、そこの部分はちょっと言っていきたい」

 昨季の神戸は球際の強さもさることながら、ボール奪取後に縦へ仕掛けるスピードと迫力が他のチームを圧倒していた。それこそが強みであり、勝ち点の獲得につながった部分。その点を今一度、確認して新しい選手たちと共有することが新シーズンにカギになると酒井は強調した。

 この一戦では途中から新戦力の広瀬陸斗が右サイドハーフを務め、右サイドバックの酒井と縦関係を築くことになった。互いにポジションを確認し合える関係であり、スムーズな組み立てができた点についてはポジティブに受け止めていたが、注意しなければならない点もあると酒井は話した。

「そこが肝というか、それがつなぎありきになってしまうと、ただ回してるだけで、正直、他のJリーグのチームと一緒になってしまうっていうか。守っている側としては、『どうぞ回してください』みたいな感覚でいるんで。それを自分たちがやるとちょっと違うというか。だから確かに(自分と広瀬の)関係性はよく見えるかもしれないけど、ゴールを脅かすかどうかって言われたらそうじゃないんで」

『つなぎ』が目的化することへの警鐘だ。酒井が強く意識するのは、ゴールを奪うためにどうプレーするか。そのすり合わせと確認が重要になる。

「(僕らは)王者だと思っていないので、チャレンジャーだと思ってやっているんで。自分たちのベース、王者だから(ボールを)回すとか全く考えていなくて、僕らがなんで勝っていたかというのにフォーカスしてやりたいんで、そういう(=王者だから)意識はありません、僕は」

 意識はあくまでチャレンジャー。どこまでもアグレッシブに、相手の脅威になり、自分たちの強みを最大化するプレーを選択していく。連覇はその姿勢を継続した先にあると、酒井は強く信じて2024シーズンに臨む。


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