デビューを迎えた川崎フロンターレの大卒ルーキーが、インパクト大のプレーを見せた。2月17日のFUJIFILM SUPER CUP 2024でヴィッセル神戸を1-0で下したが、アカデミー育ちで桐蔭横浜大から加わったMF山内日向汰は、できなかったことを反省しながら、できたことに手応えを得ていた。

上写真=日本のトップクラスのMF山口蛍を振り切って突き進む山内日向汰。上々のデビューだ(写真◎J.LEAGUE)

■2024年2月17日 FUJIFILM SUPER CUP 2024(観衆52,142人/@国立)
神戸 0-1 川崎F
得点:(川)ファンウェルメスケルケン際

「レベルをもう1段階上げなきゃ」

 自らを甘やかすようなタイプではない。

「デビューとしては、まあ、点数は高いと思うんですけど、でも、普通に一人の選手として見たところで、60点ぐらいだったのかな。スタメン組と争えるぐらいになりたいな、と思っています」

 アカデミー育ちで、今季、桐蔭横浜大から加わったMF山内日向汰は、自己採点と寸評をそんなふうに言葉にした。理由は、自分に物足りないから。

「もっとやれる、という気持ちが自分の中でありますし、今日のパフォーマンスではまだまだ満足できないです。スタメンに食い込めるようにするためには、レベルをもう1段階上げなきゃいけない」

 2月13日のAFCチャンピオンズリーグ、ラウンド16で中国に赴いてアウェーゲームを戦ったチームは、そのメンバーから先発全員を入れ替えて臨んだ。山内にとってはチャンスだ。昨季J1チャンピオンのヴィッセル神戸を相手に、タイトルのかかった一戦で先発としてデビュー。

 しかし、「もっと寄せなきゃいけない部分や、セカンドボールを拾える部分で神戸の選手に負けていたので、もっと突き詰めたい」と自らに向ける目は厳しく、「できなかったこと」を次々に挙げていった。でも、「できたこと」も多かった。

 左のインサイドハーフとしてプレーして、16分には右に寄って前に出て山田新の突破を促す短いパスを送った。1分後にはやや低い位置からループパスでまたも山田に送り届け、こぼれ球をバフェティンビ・ゴミスが強烈に狙うチャンスを導いた。23分には左に寄って受けると、同じく新戦力のパトリッキ・ヴェロンが走り出していたのを見逃さずに、右足のアウトサイドでカーブをかけて裏に送り届けた。

 いずれも、センスの塊をそのままぶつけたパスである。

「自分の間であったりとか、相手がより嫌がるプレーをできると思います。ただ、もう1個運べたり、シュートを打ったりできるし、スルーパスも何本かは出せましたけど、より脅威になれるようなプレーがもっとできると自分の中で思うので、そういう部分を突き詰めたい」

 できたことのもう一つは、走ることだ。運動量がなによりの自慢で、この日は80分までプレーして走行距離は10.227km。それを超える距離を出した選手はみんな、90分プレーしている。

「キャンプが本当にきつかったので、今日の試合はあまり疲労はなくて、まだまだ走れますし、まだまだプレーのクオリティーも上げられると思うので、そこにフォーカスしてやりたいなと」

 川崎Fの中盤は、この日先発した瀬古樹、ゼ・ヒカルドはもちろん、脇坂泰斗、橘田健人、大島僚太、瀬川祐輔、山本悠樹など、多士済々だ。そこに割って入る力があることを、J1王者相手の80分で見せることができただろう。

「今日の試合で、だいぶ自分の中で基準ができたと思いますし、とても意味のあるゲームでした。この経験を無駄にしないように、家に帰ってしっかりと振り返りたいなと思います」


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