1月14日、浦和レッズが2024シーズン新体制発表記者会見を開催した。「常に優勝を狙えるポジションに位置し続けるチームづくりを」と田口誠代表が表明すると、ペア・マティアス・ヘグモ新監督はそれに呼応して、攻撃サッカーを繰り広げることを宣言した。

上写真=ペア・マティアス・ヘグモ監督(右)はていねいに自らのサッカー観を語った。左は西野努TD(写真◎サッカーマガジン)

ストライカーは20ゴールを

 浦和レッズに、新しい指揮官がやってきた。ノルウェー出身のペア・マティアス・ヘグモ監督だ。

 ノルウェー女子代表監督として2000年のシドニー・オリンピックで優勝、2013年から3年にわたってノルウェー代表を率いた。クラブレベルでも多くの経験を持つ、64歳の指揮官である。

 与えられるミッションは、2024シーズンのJ1優勝、そして、すでに出場が決まっている、2025年開催の新しいクラブワールドカップ「ムンディアル・デ・クラブFIFA」での上位進出だ。そのために、新加入選手が11人も集い、昨年からのメンバー21人とともに新しい冒険に出ることになる。

 その話しぶりは、理知的で情熱的だ。ファン・サポーターへのあいさつを、思い出を語るところから始めた。祖父が船長の仕事に就いていて、世界中を旅した最後の目的地が日本で、国も人も文化も素晴らしいのだと、幼少期にその膝の上に乗って聞いた、というエモーショナルな日本とのエピソードを披露した。

 フットボールについては、ピッチ内外の哲学に話は及んだ。「勝利に対するハングリーさを持っている選手を、そして、勇気を持って攻撃的にトライする、恐れない選手を望んでいます」とは、サッカーへの向き合い方について。興味深いのは、ピッチに描くメソッドについてポジションごとに具体的に説明したことだ。

「4-3-3のシステムで攻撃的にプレーしたい」

「守備ではハイプレスもミドルプレスもローブロックを組むことも仕掛けて、ボールをしっかり保持しながらコントロールすることも、カウンターに出ることもしたい」

「そして、奪ったあとは速く鋭く前に進むプレーをしたい。守備の部分は世界中で発展していて、Jリーグでもそうなのですが、ボールを奪ったあとに陣形が整っていないオープンなところで仕掛けることも大事になります」

「11人で守り、11人で攻撃するのがキーポイントで、前線のワイド、つまりウイングの選手は高いポジションを取ることで裏を狙うことを目指しています。サイドチェンジしたら、ウイングは1対1で仕掛けなければなりません」

「ストライカーにはペナルティー・エリア内での仕事を期待しています。少なくとも20得点は期待しています」

「インサイドハーフにも駆け上がってペナルティー・エリアに入って得点を挙げることを期待しています」

「サイドバックにも前に駆け上がって、2対1の状況を作ってほしい」

「アンカーには中へのパスも裏へのパスも供給することを期待しています」

「センターバックにはいい守備を期待していますが、ボールを持ったときにバックラインで2対1を作ることも期待しています」

「ゴールキーパーにも、もちろんいい守備を期待していますが、攻撃にも関わってほしいと思っています」

 もちろん、どれもがベーシックな内容なのだが、あえて一つひとつ説明するところに、仕事に向かうていねいさが表れているようだった。

 そして、この指揮官の特徴を最も示しているのは、この言葉かもしれない。

「練習の7割は攻撃に関することに費やします」

 攻撃的なサッカーを、と抽象的に表現するケースは多いが、トレーニングのパーセンテージを示してまでその意欲を示すのは、聞いたことがない。

 スカッドの3分の1が新メンバーと、まさに生まれ変わった浦和レッズは、本気で日本一を、そしてアジア、世界での飛躍を狙いにきた。

■2024浦和レッズメンバー(1月14日現在)
監督 ペア・マティアス・ヘグモ
1 GK 西川周作
2 DF 酒井宏樹
3 MF 伊藤敦樹
☆ 4 DF 石原広教(←湘南)
5 DF マリウス・ホイブラーテン
6 MF 岩尾 憲
7 FW 安部裕葵
8 MF 小泉佳穂
9 FW ブライアン・リンセン
10 MF 中島翔哉
☆ 11 MF サミュエル・グスタフソン(←BKヘッケン=スウェーデン)
☆ 12 FW チアゴ・サンタナ(←清水)
☆ 13 MF 渡邊凌磨(←FC東京)
14 MF 関根貴大
16 GK 牲川歩見
◯ 17 FW オラ・ソルバッケン(←ASローマ=イタリア)
18 FW 髙橋利樹
☆ 20 DF 佐藤瑶大(←G大阪)
21 MF 大久保智明
☆ 23 DF 井上黎生人(←京都)
□ 24 MF 松尾佑介(←ウェステルロー=ベルギー)
25 MF 安居海渡
27 MF エカニット・パンヤ
28 DF アレクサンダー・ショルツ
29 MF 堀内陽太
30 FW 興梠慎三
31 GK 吉田 舜
☆ 35 MF 宇賀神友弥(←FC岐阜)
☆ 38 FW 前田直輝(←名古屋)
△ 39 MF 早川隼平
□ 47 MF 武田英寿(←水戸)
66 DF 大畑歩夢
 ☆=完全移籍加入、◯=期限付き移籍加入、□=期限付き移籍から復帰、△=昇格


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