上写真=互いに3連勝のかかる試合はタイトで激しい試合にになった(写真◎J.League)
■2023年7月8日 明治安田生命J1リーグ第20節(@埼玉ス/観衆49,108人)
浦和 0−0 FC東京
勝ち点1を分け合う
開始早々に浦和はプラン変更を余儀なくされた。トレヴィザンと空中戦を競り合った酒井が負傷によりプレー続行不可能となり、6分に荻原と交代した。
1対1にめっぽう強く、右サイドで幅を取るとともにダイナミックな攻め上がりで好機を生むサイドバックの不在はチームにとって痛手だったはずだ。試合全体を通じて見れば、右サイドの連係という点で酒井の不在はやはり影響を及ぼしていた。たとえば41分の場面。CBのショルツから送られた縦パスを、ライン間で顔を出した関根がフリックして右サイドに展開したが、複数人で狙いを共有しながらもタイミングが少しずつズレてしまった。
ただし、それによって著しくバランスを欠いたかといえば、そうではない。その不在をピッチ上の選手たちがカバーし、チームをしっかり機能させた。実際、最初のチャンスは浦和がつかんでいる。14分、右サイドからボールを引き取った関根が中央からのボールを送り、興梠が裏に抜け出す。ボックス左からシュートを放った。ブロックに来た小泉を押さえ、GKの位置を確認して左足で狙ったシュートは惜しくもポストを叩いたが、ゴールに迫ってみせた。
対するFC東京も黙っていたわけではない。20分にビッグチャンスを迎えた。左サイドで後方からのボールを内側にフリックした俵積田のボールは一度、相手のクリアに遭ったが、すぐさま松木が回収。俵積田へ展開し、リターンをボックス中央で受けると、狙いすまして左足を振った。松木のシュートはコースをしっかり狙った精度の高いもの。しかしGK西川が左手で弾いて阻止。これまたボールはポストを直撃することになった。
両チームともにゴールへの意欲を示した前半だった。しかし守備の局面で激しいバトルが繰り広げられ、チャンスの数は限られた。結果、スコアは動かず、互いに守備の固さを発揮して最初の45分間を終えた。
迎えた後半、56分にFC東京が狙いの形をピッチに描く。敵陣中央でボールを持った渡邊が右に開いた東に展開。自らはゴール脇のポケットと呼ばれるエリアに走り込んでパスを引き出すと、追ってきた大畑をボディーフェイントでかわして、シュート。GK西川の好守に遭ったが、あわやのシーンを作り出した。
一方の浦和は60分過ぎから立て続けにゴールに迫った。興梠や関根がボックス内に進入。ただ、FC東京のCBコンビも浦和のCBコンビに違わず、この日は強さを発揮。その結果、浦和の攻撃陣は良い体勢でシュートに持ち込むことはできず、ネットは揺れなかった。
終盤はややオープンな展開となったが、ゴールは遠いまま。酒井に代わって緊急出場となった荻原のミドルシュートなど、ホームの浦和の方がやや優勢だったものの、最後までネットは揺れず、スコアレスドローで試合は決着した。
ともに3連勝がかかる試合だったが、勝ち点1を分け合う結果になった。ゴールは一度も揺れることはなかったものの、激しい球際、集中した守備、開始から徹頭徹尾、貫かれたゴールへの意志。スコアレスゲームだが、見どころも多い試合だった。
▼出場メンバー
・浦和:GK西川周作、DF酒井宏樹(6分:荻原拓也)、アレクサンダー・ショルツ、マリウス・ホイブラーテン、大畑歩夢、MF伊藤敦樹(77分:平野佑一)、岩尾憲(66分:岩尾憲)、大久保智明、安居海渡、関根貴大(77分:小泉佳穂)、FW興梠慎三(66分:ホセ・カンテ)
・FC東京:GKヤクブ・スウォビィク、DF小泉慶、木本恭生、エンリケ・トレヴィザン、長友佑都、MF安部柊斗、松木玖生、渡邊凌磨(86分:木村誠二)、東慶悟(69分:寺山翼)、俵積田晃太(76分:野澤零温)、FWディエゴ・オリヴェイラ(69分:ペロッチ)