U-22日本代表に選ばれたアルビレックス新潟の三戸舜介が3月18日、明治安田生命J1リーグ第5節で浦和レッズの酒井宏樹に勝負を挑んだ。百戦錬磨のDFを前に苦労させられたが、つかんだ感覚は代表遠征にも生きてくるだろう。

上写真=三戸舜介はJ1でも存在感を示しつつある期待の若手の一人(写真◎J.LEAGUE)

■2023年3月18日 J1第5節(@浦和駒場/観衆15,167人)
浦和 2-1 新潟
 得点:(浦)酒井宏樹、明本考浩
    (新)太田修介

「三戸ちゃんにはみんなが期待してる」

 アルビレックス新潟の左のアタッカーとして、J1でも存在感を示し始めているのが三戸舜介だ。開幕から4試合連続で先発し、3月16日にはヨーロッパ遠征に臨むU-22日本代表のメンバーに選ばれた。

 その2日後には、一足先に「世界」と戦うことになった。浦和レッズとのアウェーゲームで対峙するのは、酒井宏樹。海外でのプレー経験が豊富でワールドカップにも3度出場したサイドバックとのバトルは、自身の現在地を明確に刻む格好のチャンスだ。

 だがやはり、その壁は高く、厚かった。59分にボールに吸い寄せられた酒井の背中側のスペースを見つけて飛び出し、島田譲の裏へのパスで抜け出すと、アレクサンダー・ショルツを縦にかわして左足でクロスを送っているが、それが一番の見せ場だった。

 一方で心強いのは、マッチアップそのものを楽しむことができたことだ。三戸は試合に1-2で敗れた悔しさもにじませつつ、酒井との勝負については開口一番「楽しかったです」と相好を崩した。

「楽しかったですね、はい。やっぱり本当に素晴らしい選手ですし、もっとマッチアップというか1対1のシーンをうまく作りたかったんですけど、あまりできなくて。もっと自信につながるようなプレーができたら良かったかな、と」

 浦和は新潟が得意とするパスワークを真摯に警戒してきた。これまでの4試合に比べれば自由に使えるスペースは限られ、三戸の言うように1on1で挑むきっかけを失った。

 それは、ピッチに登場するまでベンチから見守っていた堀米悠斗も感じていた。

「もうちょっと早い段階で、1対1になったら仕掛ける選手がいても良かったかもしれません。特に三戸ちゃんにはやっぱりそういうところをみんなが期待してると思うし、もう少し仕掛けていいんじゃないかなと思いましたね」

 このチームの武器の一つだからこそ、それを生かすための方法をキャプテンは考えるのだ。そして三戸自身も、日本トップクラスのサイドバックを前にして感じることがあった。

「何かをつかんだ、というか、感覚的なところなので言葉にするのは難しいんですけど、感覚としてはありますね」

 それを整理して言葉にできるようになったときに、さらに一歩進んで、今度は思う存分、酒井を、世界を抜き去ることができるのだろう。

 浦和戦の翌日、パリ・オリンピックを目指すU-22日本代表の一員として、U-22ドイツ代表、U-22ベルギー代表と戦う旅に出た。今度はそこで、何をつかんで帰ってくるだろうか。


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