上写真=途中出場の渡邊凌磨がリードを広げる貴重なゴールをスコアした(写真◎松田杏子)
■2023年2月18日 明治安田生命J1リーグ第1節(@味の素ス/観衆38,051人)
FC東京 2−0 浦和
得点:(F)オウンゴール、渡邊凌磨
逆三角形から正三角形へ
完成度ではアルベル監督体制2年目のFC東京が上回るはずが、前半、求めるスタイルをピッチ上で示したのはマチェイ・スコルジャ監督体制1年目の浦和だった。後方からしっかりビルドアップして、相手ゴール前までボールを運んでみせる。ラストパスやシュートの精度を欠き、ネットを揺することはできなかったものの、ゴールに迫ることはできていた。
一方、FC東京は前半、相手のプレッシャーをかい潜ることができず、ボールを前方へ蹴り出す場面が目立った。指揮官はシーズンイン当初、昨季はボールをつなぐことに固執するのではなく、それをしっかりゴールにつなげていくようにしたいと語っていたが、前半は1年かけて磨いたはずのビルドアップがままならず、苦しい戦いを強いられた。
それでもなんとかスコアレスでしのぐと、後半、選手交代とシステム変更によってFC東京が流れをつかむ。アンカーの東に代えて安部を投入。中盤をアンカー(東)を底に据える逆三角形からトップ下を配する正三角形に変更し、トップ下に安部、その背後に松木と小泉慶が並ぶ形にした。
アルベル監督は「早い時間帯で東がイエローカードをもらったこと、そのアンカーの東の脇をうまく使われこと」を理由に、後半開始から変更に踏み切ったと試合後に説明。実際、その策が当たり、後半は見違えるような姿を披露した。
66分の先制点は、投入された安部の働きが大きかった。積極的にボックス内に走り込み、前線を活性化。得点場面ではゴールエリア左横のポケットに走り込み、左サイドで高い位置を取っていた佳史扶からボールを引き取って、ラストパス。そのボールがゴール方向に戻ってきた小泉佳に当たって、そのままゴールインとなった。記録上はオウンゴールだが、FC東京の狙いがハマった得点だった。
勢いに乗ったホームチームは74分、1点を追加する。アダイウトンの縦パスを受けたD・オリヴェイラがボックス手前でポストワーク。左に展開すると、抜群のタイミングで走り込んだ渡邊が右足でシュート。ネットを揺らした。
2点のリードを奪ったFC東京はその後、落ち着いたパス回しを見せつつ、状況に応じて速攻に出て浦和を牽制。そのまま2−0で試合を締めくくり、開幕戦勝利をつかみ取った。
浦和は前半の姿を後半も継続できなかったのが、痛かった。対するFC東京は後半の姿を前半から見せられなかったという反省がある。ともに収穫と課題のあった試合だが、開幕戦という重要な舞台で結果を手にしたのは、FC東京。試合中に変化を加えることができたホームチームだった。