上写真=再三の好セーブで無失点に抑え、スコアレスドローに貢献した菅野(写真◎J.LEAGUE)
■2023年2月18日 J1リーグ第1節(@Eスタ:観衆13,121人)
広島 0-0 札幌
「勝ち点1はポジティブ」
まさに最後の砦となり、広島の猛攻に立ちはだかった。前半から多くのピンチを迎えた札幌だが、そのたびに菅野が好セーブ。先制されれば大量失点にもつながりかねなかった展開で、ついに最後までゴールを割らせなかった。
6分にCKから、広島DF塩谷司がヘッドで合わせたボールがファーサイドに飛んできたピンチでは、セーブ後にポストに頭をぶつけながらもゴールを割らせなかった。前半終了間際にもCKから、広島DF荒木隼人の強烈なヘディングシュートが飛んできたが、バウンドする難しいシュートもしっかりキャッチし、セカンドチャンスを与えない。
後半、さらに大きなピンチを防いだ。66分に広島MF川村拓夢が左足で放ったシュートは、ニアサイドに飛んできたボールに重心を残した右足でセーブ。67分にセンタリングから川村がヘッドでたたきつけ、ゴール上を強襲したシュートも右手ではじき出す。
それらを上回るビッグセーブが、73分だった。CKを広島DF佐々木翔がヘッドで合わせ、ファーサイドに流れたボールを川村がヘッドで合わせたが、素早く移動した菅野が左足でブロック。ゴールラインを割ったかどうかギリギリのところで、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)によるチェックが行なわれたが、割っていないとの判定だった。
札幌は試合終了間際、MF菅大輝のシュートが右ポストに当たるビッグチャンスを作った。最後まで勝機をつなぎとめる活躍を見せた菅野は「勝ちたかった試合でしたけど、アウェーで最低限の勝ち点1はポジティブに捉えられるんじゃないかと思う」と語り、プレシーズンの練習試合も含めて今季初の無失点だったことを踏まえて「前を向いて、結果とともに進んでいけるのかなと思う。すごく大きな試合になったんじゃないか」とコメントした。
VARチェックが入った73分のピンチも「自分自身では(ノーゴールの)確信があったので、落ち着いて待っていた」という。ファインセーブを連発しているときほど、思わぬミスが出ることもあるが、「調子が良いときこそ、大きなミスにつながりやすい。気の緩みとか、欲とか、そういうものは出さないように意識している」と胸を張った。
2月25日の第2節、ホーム開幕戦ではヴィッセル神戸と対戦する。「僕たちは1日1日、コツコツ積み重ねていくことが大事」と語った守護神は、「次の試合は大事ですが、明日からまた新しい競争が始まる。一人ひとり、戦っていきたい」と1週間後を見据えていた。
現地取材◎石倉利英 写真◎J.LEAGUE