上写真=ともに戦ったサポーターと。京都が引き分けでJ1残留決定(写真◎J.LEAGUE)
■2022年11月13日 J1参入プレーオフ決定戦(サンガS/18,207人)
京都 1-1 熊本
得点者:(京)豊川雄太
(熊)イヨハ理ヘンリー
※規定によりJ1の京都が残留
「互角か、それ以上にやれる」と大木監督
京都サンガF.C.がJ1残留を決めた。スコアは1-1。レギュレーションにより上位リーグのJ1で16位だった京都が残った。
J1昇格プレーオフを勝ち抜いてきたJ2で4位のロアッソ熊本を、京都がホームに迎えた決定戦。規定により、昇格するには勝利のみが必要となる熊本は、ひるまずに攻めていく。持ち味のリズミカルなパスで京都を崩し、18分には竹本雄飛をポストに使って左から進入した坂本亘基がフィニッシュ、38分にも杉山直宏が豪快なミドルシュートで狙った。
ところが、ピンチのあとにチャンスあり。先にスコアを動かしたのは京都だ。この杉山のシュートをGK上福元直人がビッグセーブで防ぐと、そのパントキックからルーズボールを拾った松田天馬が中央の裏のスペースにボールを送り込み、相手がクリアしきれず流れたボールに豊川雄太が反応、GK佐藤優也の脇に滑り込ませる左足のシュートで39分に1-0とした。
戦況が一気に入れ替わる一発勝負の緊張感をはらんだまま、試合は後半へ。序盤に川崎颯太、福岡慎平、さらに川崎と、京都が続けざまにゴールを脅かせば、熊本も杉山がフリーでヘッドで狙う絶好機もあった。少しずつオープンな展開になっていくと、セットプレーで追いついたのが熊本。68分に右からのCKをイヨハ理ヘンリーがニアに入ってヘッドで逆サイドに流し込む同点ゴールを決めて、一気に流れを引き寄せた。
1-1で進んだままスタジアムが大きくどよめいたのが、90+2分。熊本の左CKの場面で、GK佐藤優也も京都ゴール前に上がると、その佐藤がつぶれてこぼれたところで平川怜がシュート、ピーター・ウタカがブロックし、再び平川が強烈なシュートで狙ったが、右ポストに弾かれた。
「これまでの努力が最後に助けてくれた」と、この瞬間を振り返ったのが、京都のキャプテン、松田天馬。上福元も「無我夢中でやっていましたけど、みんなの気持ちがああいう形になった」と振り返った。この大ピンチを守り抜いた京都が1-1で試合を終わらせて、残留決定。その瞬間、多くの選手の目には涙も見えた。
熊本はあとほんの一歩が届かなかった。大木武監督も「1対1は相手が強い感じがしたけれど、あとは互角か、それ以上にやれるという気持ちがあります」と大きな手応えをつかんだ。それだけに「あんなにたくさんのサポーターの皆さんが来てくださって、私たちの素晴らしい力になりました。本当は笑って帰したかったけれど、それができないのが心残りです」と悔やんだ。