上写真=試合終了のホイッスルが鳴ると、大迫は同期の川村(27番)と抱き合って喜びを分かち合った(写真◎小山真司)
「焦りも正直ありました」
スコアレスで迎えた53分、広島はDF佐々木翔が大迫へバックパス。しかしC大阪FW加藤陸次樹にカットされ、止めようとした大迫もかわされて、先制点を決められた。
守護神は「先制点を取られて、焦りも正直ありました」と振り返ったが、「相手に崩されたわけではなく、『事故』の失点で、時間帯も早かった」と語るように、懸命に気持ちを切り替えた。その上で「(今季)これまでセレッソとやってきて、終盤にひっくり返した試合も何回か経験していたので、焦らずに2失点目を食らわないことを意識していた」という。
想定していた通りの場面が訪れたのは、58分だった。C大阪MF毎熊晟矢が右サイドから抜け出してゴールに迫り、大迫と1対1に。決められれば2点差となり、さらに劣勢に陥るところだったが、タイミング良く間合いを詰め、ブロックして防いだ。「GKとしては我慢強く守ることで、相手に流れを持っていかせないことを意識していた」との思いを体現し、「何とか相手のチャンスを止めることができてよかった」と喜んだ。
ヤマザキナビスコカップ時代も含めて3回目の決勝進出での悲願の初優勝は、広島ユース時代の同期2人とともに勝ち取ったものでもあった。MF満田誠と、MF川村拓夢。10月16日の天皇杯決勝で、満田は延長後半終了間際にPKを止められ、川村はPK戦で止められた。大迫はPK戦で1人も止めることができず、Jリーグ開幕後の決勝では6連敗を喫している。
「先週の試合でマコ(満田)がPKを外して、拓夢がPKを外して、自分が救うことができなかった」と悔やしそうに語った大迫は、「同期3人で切り替えて、今度は自分たちがやってやろうと話していた」と明かした。最後は3人同時にピッチに立って初優勝の瞬間を迎え、「それぞれが、それぞれのポジションで役割を果たすことができました」と胸を張った。