明治安田生命J1リーグで優勝へ突き進んでいたはずの横浜F・マリノスがまさかの連敗だ。10月12日、延期していた第27節でジュビロ磐田を迎えたが、攻めあぐねてゴールは遠く、逆にカウンターから失点して0-1で敗戦。今季初の連敗で勝ち点を伸ばせず、川崎フロンターレが勝ったため、勝ち点差は2にまで縮まった。

上写真=横浜FMが攻めに攻めたが、磐田が守りに守って勝利をもぎ取った(写真◎桜井ひとし)

■2022年10月12日 J1リーグ第27節(日産ス/20,493人)
横浜FM 0-1 磐田
得点者:(磐)古川陽介

画像: ■2022年10月12日 J1リーグ第27節(日産ス/20,493人) 横浜FM 0-1 磐田 得点者:(磐)古川陽介

「負ける理由がなかった」とマスカット監督

 10月12日のJ1で首位の横浜F・マリノスが勝って、2位の川崎フロンターレが引き分け以下で横浜FMの3年ぶりの優勝が決まる一戦。レオ・セアラ、仲川輝人、西村拓真、藤田譲瑠チマと中盤から前の4人を入れ替えて臨んだ。対するジュビロ磐田もJ1残留に向けてもう1試合も落とせない。

 だから、こうなるだろう、と予測があまり難しくない展開になった。磐田は5バックと4枚の中盤で壁を築き、幅も奥行きも消し込んだ。これを攻撃自慢の横浜FMがどう崩すかが焦点になったが、最初の壁を突破しても結局は最後の5人に捕まってしまう。それぞれのポジションで強みを発揮する11人が並んだが、逆に言えばポジションに縛られるように追い込まれ、流動性を封じ込まれて硬直したままだった。

 右の水沼宏太と小池龍太、左の仲川輝人と永戸勝也のサイドアタックはなかなかスピードに乗れず、影武者のように消えては現れるのが得意な西村拓真のところにまでボールが届いていかない。じりじりとしたまま時間が過ぎた。ゴールを脅かしたのは、21分に藤田譲瑠チマが放ったミドルレンジからのドロップショットぐらいだった。

 後半に入っても展開は変わらない。徐々に磐田の守備がばらけてきて、横浜FMがゴール前に運ぶシーンが増えていく。56分には永戸の左CKをニアで西村がヘディングシュート、入ったと思ったが鈴木雄斗がかき出した。

 磐田も前半のうちに交代で入っていたジャーメイン良に加えて、71分に入った大津祐樹の快足を生かして徐々にひっくり返し始めて、試合は少しずつオープンな展開になっていく。すると、磐田の交代策が面白いようにはまった。

 84分、自陣で相手の攻撃を止めてカウンターへ、自陣左から古川陽介がドリブルで突き進み、左外を並走した松原后へ預けてゴール前に入ると、リターンパスが足下へ。反時計回りにターンして右足を振ると、DFに当たってコースが変わってゴールに転がり込むJリーグ初ゴールを決めた。4分前に交代で入った2人で、見事な決勝ゴールを決めきった。

「支配できて、ゴールを奪う以外はしっかりできていた。今シーズンの中でも難しい時期なのかなと思います。チャンスに決めきれずに、フラストレーションのたまる試合が続いています」

 ケヴィン・マスカット監督の言葉には、いつものような力強さがなかった。ガンバ大阪とこの磐田と、残留へともがくチームに今季初の連敗。しかも、攻撃サッカーが看板のチームが連続無得点。

「磐田は守備を固めて少ないチャンスをものにしようとしてきましたが、自分たちはほとんどボックスに近づかせることはなかったですし、負ける理由がなかったとも言えます。これだけ支配できるチームはないですし、結果を残せなかったことは残念ですが、何も終わったわけではありません。私たちは1位のままで、あきらめることはまったくない」

 川崎フロンターレが京都サンガF.C.に勝ったため、両者の勝ち点差はわずかに2となった。残りは2試合。まだまだわからなくなってきた。

 逆に値千金の勝利を手にした磐田は、渋谷洋樹監督が素直に勝利を喜ぶ。

「なかなか結果として出なかったのでもどかしさがありましたし、今日は守備の時間が長くて、ゴールもラッキーな1点と思われるかもしれませんけれど、実力があるからこそ勝利をもぎ取れるのだと思います。選手の良さを引き出して、最後の3戦に向けて準備したい」

 最下位であることは変わりないが、残り3試合へ大きな光となる勝ち点3。次はアウェーの静岡ダービーだ。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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