上写真=ゴールを決めた山村和也がアシストの脇坂泰斗とゴールを祝う(写真◎J.LEAGUE)
「僕が出る必要はなかった」
先発出場は16試合ぶり。川崎フロンターレのセンターバック、山村和也はそのチャンスで、はっきりとした結果を残した。
10月8日、清水エスパルスとのJ1第32節で、遠野大弥が先制しながら逆転された76分、右からの脇坂泰斗のCKに中央でヘッドで合わせて、同点ゴールを決めたのだ。
「フィーリングは合っていて、僕が思っている場所に蹴ってくれる安心感はあります」
脇坂の質の高いキックをそう表現する。事前の打ち合わせがなくても「合う」というのは大きな強みだ。ヘッドでぶつけたボールがきれいな弧を描いて、GKの伸ばした手の上を越えてゴール左上に吸い込まれるように入っていく軌道は、狙ったわけではないという。
「少し体勢が難しくて、枠内に飛ばそうとしたら、いいところに飛んでくれました」
これだけではなかった。その2分後、今度は逆に自らのキックが「アシストのアシスト」になって逆転弾を生んだ。右サイドのビルドアップに加わり、間で顔を出してクロス、逆サイドから入ってきたマルシーニョに当たって中に入ったボールに小林悠が足を伸ばして蹴り込んだ。
だが、センターバックとしては2失点を悔やむ。特に49分の1点目は自身の選択に反省を残す。右サイドに出たボールに対して相手がフリーで入ってきたから、自分のポジションを任せてカバーに出ていった。鬼木達監督は「強気に出ていくことはチームでやってきていることなので、その姿勢自体は悪くはない」と判断している。
しかし、奪いきれずに裏のスペースへのパスを許し、そこからセンタリングを入れられて中央で決められたから、山村自身は自分の責任だと逃げずに認める。
「あそこは正直なところ、僕が出る必要はなかったと思います。でも、出ていったのなら裏に出させてはいけないし、しっかりとプレーを切らないとカウンター対策にならないので、反省点です」
それは、中3日でやってくる京都サンガF.C.戦にしっかりとフィードバックしていく。京都は前に前にと圧力をかけてくるのが持ち味だ。
「勢いを持って攻守に出てくるチームだと思うので、受け身にならず自分たちからいいアクションを起こして主導権を持って試合を進めれば、結果につながると思います。自信を持ってチーム全体で積極的にいければ」
清水戦で悔しい思いをしたからこそ、研ぎ澄まされるものがある。優勝を手にするには勝利しか許されない状況で、今度こそ無失点で貢献する。